全国2700社が導入し、話題沸騰のマネジメント法「識学(しきがく)」の代表・安藤広大氏の最新刊『数値化の鬼』。「仕事ができる人」に共通することは、「数字で考えること」や「数値化のクセをつけること」だと言う。数字によって自分の不足を客観的に受け入れ、次の行動設定や行動変容につなげることによって、人は「急成長」する。「数字で人を見るな」「数字がすべてではない」ということはよく言われるが、「数字」は決して無視できない存在。この本では、「感情を横に置いて、いったん数字で考える」「一瞬だけ心を鬼にして数値化する」など、頭を切り替える思考法を紹介する。
「ニセモノの数値化」にダマされるな
「仕事ができる人」は、数字に強いという共通点があります。
ここで重要なのが、「数値化に見えるニセモノにダマされないこと」です。
たとえば、「会話力」「英語力」という言葉があります。
これらは「数字」ではなく、ただの「言葉」です。
ここでやっかいなのは、次のような考え方をする人です。
「来年こそは『英語力を2倍』にアップさせたい」
「私は『会話力が50点』なので、『70点』を目指したいです」
どうでしょう。
このような表現を使ったことがないでしょうか。
体力、忍耐力、集中力……
すべて「数字」ではない!
ロールプレイングゲームなどの影響かもしれませんが、「攻撃力」や「守備力」といった「○○力」という概念を、私たちは日常生活で使うことがあります。
これは果たして数値化なのでしょうか。
実際の世界では、「○○力」は感覚的なものとして扱っているでしょう。
「体力をつける」「忍耐力を上げる」「集中力を鍛える」なども同じです。
これらは、数値化に見せかけた「ニセモノの数字」です。
理系出身の人や、数字に強い人は、こういう表現には敏感です。
「その『会話力』って具体的に何を表している数字ですか?」
「『忍耐力』は気合いで上がるものなんでしょうか?」
と、即座に考えることができます。
定性的か、定量的か
しかし、根っからの文系人間や感覚的に生きてきた人ほど、「ニセモノの数字」を使いたがります。
言葉だけの目標は「定性的」と言います。一方で、ちゃんと数値化された目標は「定量的」と言います。
「○○力」という言葉を疑ってかかるようにしてください。
自分が使わないことはもちろんのこと、他者が言っているときも、そのウソを見抜ける人になってください。
部下や同僚が、「販売力と企画力を強化します」「モチベーションを倍に上げます」としか言わないときは、ちゃんとそれを具体的に数値化させてください。
「英語力を上げる、ではなく、TOEICで800点をとる」
「販売力を上げる、ではなく、売上を15%アップさせる」
そこまで具体的にできて、初めて定量的な「数値化」と呼べるのです。
以上が、数値化をしていく上でのマインドセットの話です。
これまで都合よく考えてきた逃げの言葉を、1つ1つ潰していきましょう。
一見、厳しさを感じるかもしれませんが、その痛みは一時的な筋肉痛のようなもので、確実にあなたを成長させている証拠でもあります。
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモを経て、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)のジェイコム株式会社で取締役営業副本部長等を歴任。2013年、「識学」という考え方に出合い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヶ月でマザーズ上場を果たす。2022年3月現在で、約2700社以上の導入実績があり、注目を集めている。最新刊『数値化の鬼』(ダイヤモンド社)の他に、29万部を突破したベストセラー『リーダーの仮面』(ダイヤモンド社)などがある。