子どものモチベーションが上がる教え方

ではどのように、おみやげ算を子どもに教えればいいのでしょうか? ここで必要になるのが、スモールステップ(法)です。少ない説明だけで解説するのではなく、小さい段階を踏みながら、ひとつずつ丁寧に教えていくことを、スモールステップ法といいます。

先ほどの「じゃあ、同じようにやってみて」という指示は、この場合、スモールステップとはいえません。これは、子どもにとって一段が高すぎる階段を「のぼってみて」と言っているようなものです。一方、子どもがのぼりやすくなるように途中に小さい階段(ステップ)を何段も入れて解説するのが、スモールステップ法です。

スモールステップで教えることで、子どもにとっては無理なく「できる」ようになります。「できる」ことは楽しいので、子どものモチベーションを上げることにもつながります。

スモールステップで教えるときに必要なのが、「解説の細分化」と「適切な順序での説明」です。

つまり、子どもに教えるべきことを漏れなく把握し、できるだけ小さいパーツに分けた後(解説の細分化)、それを子どもが無理なく理解できるように、スムーズな順に教える(適切な順序での説明)のです。例えば、「17×16」のおみやげ算の解説なら、次のような順で教えることをおすすめしています。

①おみやげをわたす(17×16→(17+6)×(16-6))
②おみやげをたし引きする((17+6)×(16-6) →23×10)
③たし引きした後、かける(23×10=230)
④「17の一の位の7」と「おみやげの6」をかける(7×6=42)
⑤ ③と④の結果をたした数が答え(230と42をたした、272が「17×16」の答え)

今回の新刊『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』でも、次のように、スモールステップで確実に学べるような構成にしています。

本書の構成
・じゅんびうんどう さくらんぼ計算(その1)
・ステップ1:おみやげをわたそう!
・ステップ2:おみやげをわたした後にたして、引いて 
・ステップ3:たして引いた後にかけよう!
・ステップ4:一の位どうしをかけよう! 

・じゅんびうんどう さくらんぼ計算(その2)
・ステップ5:ステップ3とステップ4を合体して、おみやげ算完成!
・ステップ6:おみやげ算になれていこう!
・ステップ7:□の数をへらして計算しよう!
・ステップ8:おみやげ算をマスターしよう!

このように、2つの「じゅんびうんどう」と、8つのステップで、子どもに無理をさせることなく、11×11~19×19の暗算ができるように制作しました。

お子さんに教えるときに「解説の細分化」と「適切な順序での説明」を意識してみるのはいかがでしょうか。それによって、よりわかりやすく教えることができます。また、お子さんにとっても無理なく理解できるようになり、そのことがモチベーションを上げることにもつながります。