あなたは、お子さんのやる気をアップさせる教え方ができているでしょうか? また、わかりやすく教えられているでしょうか? わかりやすく教えるときに欠かせないのが、スモールステップ(法)です
東大卒プロ算数講師の小杉拓也氏の新刊『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』も、少しずつ段階を踏みながら学べる構成になっています。
お子さんに教えるとき、どのようにスモールステップで伝えればいいのか、その具体的な方法を同氏に伺います。

【東大卒プロ算数講師が伝授】子どものモチベーションをぐんと上げる教え方Photo: Adobe Stock

「同じようにやってみて」は、
子どものやる気を下げることも

この記事では、スモールステップで教えることの大切さをお話しします。

実際に子どもに教える題材として、この連載のテーマである「おみやげ算」を例に考えてみましょう。おみやげ算とは、次のような計算法です。

(例)17×16=

(1)17×16の右の「16の一の位の6」をおみやげとして、左の17に渡します。すると、17×16が、(17+6)×(16-6) =23×10(=230)になります。

(2)その230に、「17の一の位の7」と「おみやげの6」をかけた42をたした272が答えです。
まとめると、17×16=(17+6)×(16-6)+7×6=230+42=272です。

これで、「17×16=272」が計算できました。例えば、12×14、15×19、18×18などの「十の位が1の2ケタの数どうしのかけ算」は、おみやげ算を使ってすべて計算でき、慣れると暗算もできるようになります(「おみやげ算で計算できる理由の証明」については、本連載の第2回をご覧ください)。

では、このおみやげ算を子どもに教えるとき、あなたならどのように教えますか? 先ほどの例(17×16)の(1)(2)の説明のみをして、「じゃあ同じ解き方で、(例えば)14×18を計算してみて」とだけ言うのでは、子どもが難しく感じ、それによってモチベーションを下げてしまうことさえあります。

つまり、先述した(1)(2)のような、最小限の説明だけをして解かせた場合、子どもが実際に計算しようとする段階で、いろいろな疑問や不明点が出てきて、途中でわからなくなり、やる気を損ねることさえあるのです。