「年末年始に必ず売れる本」として注目を集めているのが、シリーズ累計69万部を突破している『東大教授がおしえる やばい日本史』だ。長期休暇の時期に多くの人が買い求める本書は、2018年の発売以降、毎年、12月に売上が上昇。前月比で1.7倍にも達する。本稿では、その理由を解説する。(構成/根本隼)
あらゆる世代の「知りたい」需要に合致
『東大教授がおしえる やばい日本史』は、誰もが知っている歴史上の偉人の「すごい」エピソードと、あまり知られていない「やばい」エピソードをセットで紹介するユニークな歴史本。子どもから大人まであらゆる世代が楽しめる1冊だ。そんな本書が、年末年始に必ず売れるのには、2つの理由がある。
1つは、クリスマス、お正月とビッグイベントが続く「年末年始」は、1年で最も書店が盛り上がるタイミングだからだ。
書店には、お年玉で「面白い本」を買いたい子ども、少しでも「ためになる本」をプレゼントしたい保護者、「孫と一緒に読める本」を探したい祖父母が、次々とやってくる。本書は、これら全世代がそれぞれ「それ、どういうこと?」と知りたくなるエピソードを網羅している。
たとえば、小学生に人気なのはこんなエピソード。
●卑弥呼はじつは引きこもりのおばあちゃん
●豊臣秀吉の本当のあだ名は「サル」じゃなくて「はげねずみ」
●土方歳三は自分あてのラブレターを見せびらかしてモテ自慢をした
一方、大人からはこんなエピソードへの反響が大きかった。
●清少納言が書いた『枕草子』の内容はめちゃくちゃイジワル
●竹中半兵衛はおしっこを顔にかけられた恨みで城を乗っ取った
●伊藤博文は恋愛体質すぎて明治天皇にしかられた
このように「家族それぞれが楽しめる歴史本」だからこそ、この時期に本書の売上が急増するのだ。
「歴史を学びたい」という意欲が高まる時期
2つ目の理由は、年末年始は「歴史にまつわるコンテンツ」が盛りだくさんだということ。毎年この時期は、時代劇や日本の歴史を振り返るスペシャル番組がこぞって放送されるほか、NHK大河ドラマの新シリーズもスタートする。
そして、これらのコンテンツに触れて、「歴史をもっと学びたい」という意欲が高まった人たちのニーズに応えるのが本書だ。人物相関図と解説マンガで歴史の流れを簡単に理解でき、さらに、偉人たちの「すごい」エピソードと、つい笑いそうになる「やばい」エピソードの両方を知ることで、歴史をぐっと身近に感じることができる。
家康の「赤っ恥」エピソードとは?
ちなみに、来年の大河ドラマのタイトルは「どうする家康」。登場人物は徳川家康を主人公に、織田信長・豊臣秀吉・武田信玄など、歴史にその名を残す戦国武将が目白押しだが、本書ではこの4人全員の「すごい」「やばい」エピソードが紹介されている。
たとえば、家康の場合は、戦国の世を平定して江戸幕府を作ったことで知られているが、実は「武田信玄を恐れるあまりウンコを漏らした」というウラ話がある。
武田軍との戦いで部下が次々と死んでいくのを尻目に、命からがら逃げまくった家康はつい失禁してしまったのだ。ちなみに、お尻の汚れを家臣に見られた家康は、「これは、腰に付けてた非常食のミソだ」と言ってごまかしたという逸話もある。
このような「やばい」逸話が満載の本書を読んでから歴史関連のコンテンツに改めて触れると、ひと味違った楽しみ方ができるかもしれない。