「人手不足で困っている」という企業は日本中にあふれている。その一方で「働きたいのに働けない」「短時間なら、在宅なら働けるのに」という人たちもたくさんいるのが現実だ。今回紹介する「2hours」は、その名の通り「1日2時間から働ける」という働き方を実現している。制限や立場を超えて、真に多様性がある働き方はどうやったら可能になるのか? そのポイントは大きく二つあった。(ノンフィクションライター 酒井真弓)
福島で、地元飲食店などの
SNSマーケティングを支援
福島県郡山市でアウトソーシングサービスを提供するケイリーパートナーズ。経営陣も従業員も全員女性という企業だ。その多くが小学生以下の子どもを育てる母親で、一度はキャリアを手放した経験を持つ。
社員の栁沼さんは、この日、小さなお子さんと出社していた。
「前職は時短勤務をしていましたが、子どもが体調を崩しがちで1週間まともに出勤できたことがなく、いつも謝っていました。私は一体何のために働いているんだろうって」
栁沼さんは今、在宅と出社を組み合わせながら、地元飲食店などのSNSマーケティングを支援している。つい最近まで、この地域で集客といえば紙のチラシがほとんどで、SNSを活用している飲食店はごく少数だった。しかし、コロナ禍で時短営業、休業再開、テイクアウトやデリバリーの有無といった柔軟な発信が不可欠となり、今やSNSは多くの飲食店の命綱になっている。
「本当は飲食店の方がSNSもするのが一番ですが、本業でいろいろ対策を打たなければならない中、人手が足りないので手伝ってほしいと言われて。コロナ禍という特殊な状況下での情報発信は初めてでしたが、ネットで良いと言われている方法をチームのみんなで試し、一喜一憂しながら試行錯誤していきました」
日本の法人の99%は中小企業・小規模事業者であり、これらの組織が国や地域経済の原動力となっていることは言うまでもない。しかし、現実問題としてどこもかしこも人手不足。世間ではDXが声高に叫ばれ、失敗を恐れて挑戦しないとか、過去の成功体験にとらわれて何も変えられないなどと言われるが、特に飲食店のような小規模事業者の場合、新しいことを始めるには忙しすぎるのだ。だからこそ、煩雑な作業から必要性を感じながらも着手できていない新しい取り組みまで、気軽に頼れる存在が求められている。ケイリーパートナーズは、そんな存在の会社として地元飲食店や中小企業に寄り添っている。