1投与で4億円超!米FDAが承認した「血友病B」遺伝子治療薬の全貌Photo:123RF

FDAが承認した「血友病B」遺伝子治療薬

 米食品医薬品局(FDA)は11月22日、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた血友病Bの遺伝子治療薬Hemgenix(一般名etranacogene dezaparvovec)を承認した。同薬剤による治療は1回の投与で完了するが、価格は1回当たり350万ドル(1ドル138円換算で約4億8300万円)に上るという。投与の対象は、現在、第IX因子製剤による補充療法を受けている成人患者、現在または過去に命に関わる出血を経験したか、重症の自然出血エピソードが繰り返し生じている成人患者である。

 血友病Bは、血液凝固第IX因子が欠落しているか、その量や質が不十分であることから生じる遺伝性の血液疾患である。血液凝固第IX因子は、止血に必要な血栓を形成する際に不可欠なタンパク質である。血友病Bの主な症状は、けがや手術後、歯科治療後などに生じる、長引く出血または重度の出血である。重症例では、はっきりとした原因なしに自然に出血が発生することもある。また、止血に時間がかかると、関節や筋肉、脳などでの出血といった重度の合併症を招きかねない。有病率は4万人に1人で、罹患者は男性に多い。女性でも血友病Bの原因となる遺伝子変異を有する保因者はいるが、約10~25%に軽度の症状が現れる程度であり、中等度または重度の症状が現れることはまれである。