ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
ベナンってどんな国?
ベナンはアフリカ大陸西部に位置し、ギニア湾に面する国です。トーゴ、ブルキナファソ、ニジェール、ナイジェリアと国境を接します。
17世紀頃ダホメ王国があり、ヨーロッパとの奴隷貿易で繁栄しました。1995年、奴隷貿易の悲惨な歴史を象徴する「帰らずの門」が建設されました。
海岸に砂州やラグーンが発達しています。この国最大の都市コトヌーは港湾都市として成長し、多くの行政機関もあります。首都は海岸の東端にあるポルトノボです。
コトヌーの北にあるガンビエは、潟湖のノコウエ湖に広がる水上都市で、約4万人が暮らしています。学校などもあるアフリカ最大の水上都市で、「アフリカのヴェネツィア」と呼ばれます。奴隷貿易が盛んだった頃、奴隷狩りから逃れるために作られました。
主産業は農業で、綿花はこの国最大の輸出品となっています。それ以外にめぼしい産業はなく、経済は隣国のナイジェリアにかなり依存しています。
元駐日ベナン大使のゾマホンは1994年に来日。上智大学大学院で学びました。日本での芸能活動で多くの収入を得、それをもとに、母国に3つの小学校と日本語学校を設立しました。そこでは無料で日本語を学べるそうで、現在200名ほどが学んでいます。
このほか、バスケットボール選手の八村塁はベナン人の父と日本人の母をもち、富山市で育っています。
ベナン共和国
面積:11.3万km2 首都:ポルトノボ
人口:1330.2万 通貨:CFAフラン
言語:フランス語(公用語)、フォン語などの民族語
宗教:イスラーム27.7%、カトリック25.5%、プロテスタント13.5%
隣接:トーゴ、ブルキナファソ、ニジェール、ナイジェリア
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)