ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
ニジェールってどんな国?
ニジェールはアフリカ大陸西部に位置する内陸国で、アルジェリア、マリ、ブルキナファソ、ベナン、ナイジェリア、チャド、リビアと国境を接します。
国名は西アフリカを流れる大河ニジェール川にちなみますが、その恩恵にあずかれるのは南西端の限られた地域に過ぎません。
もともとこの地域の遊牧民トゥアレグ族がこの川を「川」を意味する現地語で呼んでいるのを聞いたフランス人が、ラテン語で「黒」を意味するニジェールと命名しました。
ちなみに南のナイジェリアも語源は同じで、植民地として支配した国がフランス語か英語かによる違いだけです。
人口の大半はニジェール川とその支流に集中していて、アルジェリアやリビアと接する北部はほとんど砂漠です。ほぼ中央に位置するアイル山地には、サハラ砂漠の植生が豊かだった約1万年近く前に描かれたキリンの線刻画が残っています。
その北のアーリットでは、原子炉の燃料などに使われるウランが産出されます。その生産量は世界第5位(2019年)で、この国の最大の輸出品で、経済を支えています。原子力発電の比率が高いフランスでは、4割以上をこの国のウランに依存しています。
サヘルに当たる地域では、砂漠化が進んでいて、2005年にはバッタが大発生しました。農業が振るわず、経済的に厳しい状況が続いています。
ニジェール共和国
面積:126.7万km2 首都:ニアメ
人口:2360.6万 通貨:CFAフラン
言語:フランス語(公用語)、ハウサ語などの民族語
宗教:イスラーム99.3%
隣接:アルジェリア、マリ、ブルキナファソ、ベナン、ナイジェリア、チャド、リビア
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)