ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
ナイジェリアってどんな国?
ナイジェリアはアフリカ大陸西部に位置し、ギニア湾に面する国です。ベナン、ニジェール、チャド、カメルーンと国境を接します。
日本の約2.4倍の国土に、2億人を超える人が住んでいます。人口は世界第7位の国です。経済成長も順調で、国民総所得は、南アフリカ共和国を抜いて、アフリカ最大になりました。民族は250以上、言語は500以上あるといわれる多民族国家です。
北部は乾燥しており、イスラームが広く信仰されています。一方、南部は熱帯で、キリスト教を信仰する人が多いです。ムスリムとクリスチャンの人口はほぼ半々です。
北部のハウサ人、南西部のヨルバ人、南東部のイボ人が三大民族です。
ニジェール川の河口には、アフリカ最大といわれるデルタが広がり、海岸部はマングローブと低湿地が広がっています。
アフリカ最大級の産油国
南東部の海岸で原油が産出され、アフリカ最大級の産油国で、OPECに加盟しています。また、天然ガスの埋蔵量も多いです。1967年、原油の利権争いも関わって、東部の州がイボ人を中心にビアフラ共和国として独立を宣言したため、他の地域が反発して、ビアフラ戦争と呼ばれる内戦が起きました。
最大の都市は港町のラゴスで、約1000万の人口を有する、この国の経済の中心地です。かつてはラゴスに首都がありましたが、1991年に、首都を内陸部のアブジャに移しました。それは民族間の対立をなくすためで、どの民族にも属さない土地で、国土のほぼ中央に位置することにより決まりました。その都心部のマスタープランを作成したのは、日本人建築家の丹下健三です。
成長が期待される映画産業とIT産業
ナイジェリアは映画産業が盛んで、「ノリウッド」(ナイジェリアとハリウッドの合成語)と呼ばれています。年間2000本以上制作されているといい、その数はインドに次いで世界第2です。
また、ヤバ地区にはシリコンバレー帰りの起業家が集まり、「ヤバコンバレー」と呼ばれています。州政府は光ファイバーを敷設するなどインターネット環境を整備しています。2018年にはグーグルとメタ(旧フェイスブック)が進出しました。
その一方、スラムが拡大しており、交通渋滞もひどく、治安もよくありません。
ナイジェリアの企業では女性幹部の割合が高いです。アフリカ最大のEコマース企業JumiaのCEOが女性であるほか、中堅企業の部長職以上の女性の割合は38%で、世界第3位であるといいます。
西アフリカでエボラ出血熱が流行った際、ナイジェリアはそれを逸早く封じ込めました。その時の保菌者の追跡法は、後にアメリカ合衆国も参考にしたといわれています。
ナイジェリア連邦共和国
面積:92.4万km2 首都:アブジャ
人口:2億1946.4万 通貨:ナイラ
言語:英語(公用語)、ヨルバ語などの民族語
宗教:イスラーム53.5%、カトリック10.6%、その他のキリスト教35.3%
隣接:ベナン、ニジェール、チャド、カメルーン
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)