他人と競おうとする悪しき習慣を捨てよ

 そもそも、仕事は他人と比較するものではありません。常に自分の中で課題を見つけ、一つ一つ乗り越えていくことで一人前になります。つまり自分自身との闘いです。にもかかわらず、同期や後輩と比べて劣等感に苛まれ、心に病を負ってしまう人までいる現実は、実に嘆かわしいことです。

 それは日本の教育が「偏差値至上主義」であることが悪影響をおよぼしているからに他ありません。偏差値とは、全体の中で自分の点数がどの位置にいるかを数値にしたものです。言い換えれば、「他人と比べた際の良し悪し」を数値で表したものとなります。あなたも、「偏差値は高ければ高いほどいい」と親や先生から何度も言い聞かされてきましたよね。偏差値で優劣が決まり、偏差値で未来が決まる――そんな環境にいたのですから「他人と比較すること」が習慣化してしまっているのも無理はありません。

 だからと言って、その悪しき習慣を放置したままでは、あなたの成長が阻害されてしまいます。百害あって一利なしです。一刻も早く捨てなくてはなりません。

 すなわち「人から遅れているからといって気にするな」とは、言い換えれば「他人と競おうとする悪しき習慣を捨て、自分自身に打ち勝つことに集中する習慣を身につけなさい」ということです。

 どんな仕事でも最初のうちは「つまずき」の多い方が良い。つまずかないと分からないことが、たくさんあるからです。そのため、つまずいたことで他人よりも覚えが遅いからといって、あなたの評価が悪くなることなど絶対にあり得ません。

 いくらつまずいても、へこたれず、焦らず、コツコツと1万回繰り返しているうちに、実力はついてきます。実力は結果になって必ずあらわれます。そして、そのような「仕事に対する誠実な姿勢」を周囲は評価するのです。