英会話で「早口=流ちょう」というのは大きな誤解。話す速度が世界でトップクラスの日本語のノリを、英語に持ち込むとさまざまな弊害があります。英会話講師と商社での勤務経験から、日本人ビジネスパーソンに向けた英語教材を開発する筆者が、「ゆっくり話すメリットとノウハウ」をロジカルに伝えます。(パタプライングリッシュ教材開発者 松尾光治)
「英語は早口」という先入観
英語を話すことに慣れてくると、早口でしゃべろうとする人が多い。なぜだろうか?
最大の理由は、「英語は早口な言語だ」という誤解だろう。日本人は英語に対して、「流れるような早口」というイメージを持っている。そのため、「早口=流ちょう」と勘違いしがちだ。
「早口でペラペラ話したほうが、英語ネイティブみたいでかっこいい」と思っている人は多いし、速く話せることが英語上達の指標の一つになってしまっている人さえいる。
また、もともと日本語でも早口な人が、英語でも早口になりがちなケースもある。
しかし、速くしゃべろうとする前に、ゆっくりと余裕を持った話し方をまずは身に付けることを強くお勧めする。各国の非ネイティブ英語の中でも、早口になった日本人英語は、かなり聞き取りにくい部類に属するからだ。
さて、本題だ。英語ネイティブたちが話すのを聞いていると、早口に思えるのはなぜだろうか。
その理由は、英語では、強くゆっくりめに聞こえる部分と、弱くて速めに聞こえる部分が一つの文の中に混在しているからだ。そのせいで日本人の耳には速く聞こえる。
「弱くて速めということは、つまり早口なんじゃないの?」と思うかもしれないが、それは違う。弱い部分で自然に起きる音声変化のせいで、日本人には速く聞こえるだけなのだ。
この英語の音の仕組みが分かると、「速く話そう」という見当違いの努力をせずに、分かりやすい英語、それこそ「ネイティブっぽい」英語を話すことができるようになる。