ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋し、世界の国々を紹介する。
トンガってどんな国?
トンガは南太平洋に浮かぶ、ポリネシアに属する島国です。南北約1000km、東西約500kmの海域に散在する、4つの諸島と169の島から構成されます。
4つの諸島のうち最も南に位置するトンガタプ諸島のトンガタブ島に首都があり、この島には国の人口の7割が居住しています。トンガタプ島はサンゴ礁が隆起してできた島ですが、国内には火山島もあります。
1900年にイギリスの保護国となったものの、植民地とはならず、ポリネシアでは王政が残る唯一の国です。王政が維持できた要因は、1800年代半ばにキリスト教の王が全土を統一し、イギリスとの関係を良好にしていたからだと考えられています。
なお、従来国王が指名していた首相は、2010年より議員選挙により選出されるようになりました。また、貴族議員と平民議員で構成される議会においても、平民議員の議席数を増やすなど、おだやかに民主化が進んでいます。しかしながら、国王の内政への影響力は強いとされます。
イギリス、オーストラリア、ニュージーランドといった英連邦諸国とは緊密な関係を維持していますが、太平洋諸島フォーラムに加盟し、太平洋諸国とのつながりも強めています。
トンガでは、誰かが食事をしたら周りにも分け与えるという習慣があり、その習慣が災いして、世界上位の肥満率(国民の8割以上)となったといわれています。
トンガ王国
面積:747km2 首都:ヌクアロファ
人口:10.6万 通貨:パ・アンガ
言語:トンガ語(公用語)、英語(公用語)
宗教:プロテスタント64.1%、カトリック14.2%
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)