インドは2020年代に米アップルの一大製造拠点(ハブ)に成長する可能性が十分にある。中国政府の失策によるところも大きいが、端末製造に適した環境を整え、金銭的な魅力を高めた点はインド政府の功績だろう。多くの西側メーカーが中国に大きく依存することに難色を示すようになった。ここ1年の公衆衛生を巡る中国政府の強硬かつ予測不可能な姿勢を踏まえて、その傾向がさらに強まっている。11月にはアップルのサプライヤー、台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)の中国・鄭州の工場で抗議行動が起こり、サプライチェーン(供給網)を集中し過ぎることのリスクが一段と浮き彫りになった。一方でインドは、少なくともアップルにとってはより大きな役割を果たすようになる見通しだ。同国はインフラ(社会基盤)の老朽化やいらだたしい官僚機構といった問題もあるが、市場規模の大きさや、電子機器製造への政府の力強い支援を追い風に、中国への一極集中を避ける「チャイナ・プラスワン」戦略に乗じる好位置につけている。