狭い土地で効率的に農業生産できる植物工場が世界で注目されている。外部環境を農産物の生育に最適な条件に整えることで、短期間栽培、年中栽培、無農薬栽培、気象リスク回避などができるのが大きなメリットだ。高度な農業技術が結集する日本の植物工場は、食の安全性を求める中国、水が不足する中東、耕地面積が狭いシンガポールなどから熱い視線を注がれている。
植物工場は
次世代の農業技術
狭い土地で効率的に農業生産できる植物工場が世界で注目されている。植物工場とは、光、温度、二酸化炭素濃度、風速、肥料濃度等の栽培環境を、人為的に最適コントロールする栽培施設である。大半の植物工場は水耕栽培方式だが、一部には人工土壌を用いたものも存在する。露地栽培では自然任せだったものを、植物工場では栽培環境を積極的にコントロールし、生産量向上とリスク低減を図っている。
植物工場は光源によって分類され、人工照明のみで栽培する人工光型と自然光メインで一部を人工照明で補う太陽光併用型の2種類が存在する。前者は閉鎖された建物内での栽培であり、蛍光灯やLEDが用いられる。後者は大きな温室内での栽培で、自然光を補う形でナトリウムランプ等が用いられる。
時に誤解されているが、太陽光併用型は太陽光発電を使っているのではない。温室栽培と同じく差し込んだ自然光で植物が光合成するもので、「工場」というよりも、高度に管理された温室と言ったほうがわかりやすいかもしれない。
植物工場の
どこがすごいのか?
外部環境を農産物の生育に最適な条件に整えることで、短期間栽培(回転率の高さ)、年中栽培、無農薬栽培、気象リスク回避といったメリットが生まれる。露地栽培や一般的な温室栽培の場合、気温や降水量の面で栽培のタイミングは自ずと決まっている。