JR共済連が入るビルダイヤモンド編集部による試算で、農協に対して最も大きな減益ショックを与えることが分かった共済事業。その大元締めであるJA共済連が入るビル Photo:JIJI

農協を三つの減益ショックが襲っている。農林中央金庫が、農協が集めた預金に対して支払っていた奨励金の減額という従来の減益リスクに、農中からの配当金の減少と、職員による保険(共済)の「自腹営業」への監視強化という二つの利益下振れ要因が加わる。ダイヤモンド編集部の試算では全国の農協の減益額は1182億円に上った。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

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農中からの貯金集め奨励金は800億円減額
配当金と保険事業の減益も追い打ちに

 全国に500超ある農協は、近年、日本銀行のマイナス金利政策で銀行業務(信用事業)の収益が悪化し、2020年度は46JAが、21年度は27JAが最終赤字に陥っていた。

 主因は、農林中央金庫(農中)が農協に貯金を集めさせるために支払ってきた奨励金が減額されたためだが、金融部門(信用事業と共済事業)の減益はこれだけで終わりそうにない。

 次ページでは、1.7兆円の有価証券の含み損を抱えたことで見込まれる農中から農協への配当金の減少と、職員に自爆営業(職員が営業ノルマを達成するために本来、不要な保険に加入すること)を迫りにくくなることによる農協の経営への影響に迫る。

 全国の農協の減益額が約1200億円に上るという「衝撃試算」の内実を明らかにしていこう。