開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕……東京・吉祥寺を中心に都内に展開する進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」が、圧倒的な支持を集めている。本稿では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、特別に一部を抜粋して紹介する。

人気進学塾代表が語る「考える力が高い子どもの共通点」Photo: Adobe Stock

考える力は「知識量」に比例する

 かつては暗記型の勉強が重視され、受験も暗記による知識量が多い子どもが勝ち抜ける傾向にありました。しかし、ここ数年で中学受験から大学受験まで問題の傾向は大きく変わってきました。

 今は「考えて問題を解く」ことが必要で、知識があるだけでは合格を手にできません。だから、「考える力」をつけることは必須です。ここまでは、紛れもない事実です。

 そして、ここからが重要なのですが、考える力をつけるための特殊な訓練など存在せず、基礎的な知識をたくさん蓄えなければ、考える力は育ちません。

 基礎的な知識量が多い子ほど考える力も高くなり、中学受験でどのような問題が出されても解いていくことができるのです。

基礎的な知識なしに、難易度の高い問題を解決することはできない

 英語学習についても同様です。

 とくに、ひとりっ子の場合、子どもに英語の能力をつけさせたいと考えている親が多いのですが、そのために必要なのは英単語を覚えること。英単語を数多く知っていなければ英文は読めません。

 この、あまりにも当たり前のことが、みなさんが考えている以上に重要なのです。

 これは、大人たちのビジネスにも言えることです。たとえば、プレゼンが苦手な人の多くが、「自分は上手にパフォーマンスができるタイプじゃないから不利だ」と考えています。

 しかし、ビジネスで契約を取るために必要なのは、タレントのように振る舞って魅力を振りまくことではありません。自社の製品について、相手が納得してくれるまで説明する力です。

 もちろんそのときに、暗記していった内容を一方的に話すだけでは成功しません。予測していなかった質問が投げかけられたときに、その答えを考え出す力がなくては、相手を納得させられません。そして、どんな質問が飛んできても答えられるようにするためには、基礎的な知識をたくさん覚えていなければならないのです。

 つまり、自信を持ってプレゼンに挑むためには、基礎的な知識を蓄えた上で、実践的な練習をすることが大事で、同じことが子どもたちの学習にもあてはまるわけです。

(本稿は、『ひとりっ子の学力の伸ばし方』からの抜粋・編集したものです)