住宅地などの上空をドローン(無人航空機)が飛ぶのを可能にする改正航空法が昨年12月、施行された。法改正はドローンによる配送の実用化を見据えた規制緩和だ。しかし、物流業者がドローン配送をビジネス化する「空の物流」の実現には2つの障害が立ちふさがっている。(ダイヤモンド編集部 梅野 悠)
ドローン活用の物流サービス拡充は
岸田政権肝いりの目玉政策だが…
昨年12月に施行された改正航空法では、4段階あるドローン(無人航空機)の飛行区分のうち、最も条件が厳しい「レベル4」飛行が解禁となる。
これまでドローンは河川や森林などの「無人地帯」でしか飛ばすことができなかったが、レベル4の解禁により、住宅地などの「有人地帯」にも飛行エリアは広げられた。
今回の法改正は、岸田文雄政権の肝いり政策「デジタル田園都市国家構想」の柱の一つであるドローンを活用した物流サービスの拡充を狙ったものだ。
もともと物流業界は慢性的なドライバー不足に悩まされてきた。人手不足を解消する有効な手段の一つとして検討されてきたのがドローンの活用だ。
法改正前において、日本郵便や西濃運輸、佐川急便などがドローンによる物流サービスの実証実験を進めてきた。政府は今回の法改正による飛行エリアの規制緩和で、ドローンによる宅配ビジネスの本格化に期待を寄せる
だが、政府の期待とは裏腹に物流業者の腰は重い。というのも、ドローンを活用した物流ビジネスをめぐっては、法改正だけで解決しない問題が山積みなのである。
次ページでは、ドローンを活用した物流ビジネスの二つのボトルネックを解説する。また、政府がドローン普及のために繰り出した“禁じ手”についても明らかにする。