物流危機#1Photo by Masataka Tsuchimoto

宅配最大手のヤマト運輸で2021年末、大量の配達遅延が発生した。インターネット通販といったEC(電子商取引)商品の激増が大きな要因である。にもかかわらずだ。社内ではEC商品を運ぶ専門部隊の解体が始まっている。特集『物流危機』(全14回)の#1では、宅配王者の内情に迫る。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝、松野友美)

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「サービスの大きな混乱はない」
経営の見解と現場にギャップ

 ヤマトホールディングス(HD)傘下で宅配最大手のヤマト運輸で2021年末、大量の配達遅延があったことがダイヤモンド編集部の取材で分かった。

 ヤマトHDは2月9日の22年3月期第3四半期決算会見では、「サービスの大きな混乱はなく、一部天候不順によるものを除けば順調にサービスを提供できたかなと考えている」と説明していた。本編集部の取材に対しても、「ピークシーズンにもキャパシティを確保。一時的に発生した遅延の主な要因は、大雪など天候の影響」と説明した。

 だが、複数の物流業界関係者は「全国規模で配達遅延が慢性化していた」と証言。ある関係者は「決算会見での発言は、それだけヤマトの感覚が鈍くなっているということなのだろう」と苦笑いする。混乱に業を煮やした一部荷主で“ヤマト離れ”の動きもあった。

 また、現場からは「社員は昼食や休憩時間なしで働いた」との声も上がる。経営と現場の間で明らかに認識のギャップが生じている。混乱の大きな要因はインターネット通販といったEC(電子商取引)商品の激増にある。

 にもかかわらずだ。社内ではEC商品を運ぶ専門部隊の解体が進んでいる。