「岸田首相が派閥に居続けることが、派閥政治を引きずっているというメッセージになる」(1月10日発売の月刊「文藝春秋」)
「少子化対策は極めて重要だと思うが、消費税を増税してやるということは、(私自身は)全く考えていない」(1月13日、訪問先のベトナムで)
「(防衛増税の話は)突然だったんじゃないか。議論がなさすぎたんじゃないか」(1月18日、ラジオ日本の番組で)
筆者自身は、その中身はともかく、岸田首相が「異次元」の少子化対策をぶち上げ、国会審議の前に、アメリカのバイデン大統領に防衛費増額の詳細を説明してきたことは、何ら問題ないと思っている。
先にアジェンダ(課題)を設定したまでのことだ。首相であればそれくらいの牽引力があっていい。改善点や修正点があるなら、それを国会で議論すればいいだけの話である。
とはいえ、これまで政権批判を控えてきた菅前首相が、岸田首相個人や岸田政権の重要施策を、何度も公然と批判したことの意味は大きい。すでにさまざまなメディアで報じられている通り、これらの発言は、自民党内でくすぶる岸田首相への不満を代弁したもの、もっと言えば、「反岸田勢力」結集に向けたのろしとも受け止めることができるからだ。
その意味では、政局色の強い発言ともいえるが、では、焦点の一つ、「異次元」の少子化対策と財源確保のための増税はどこが問題なのか見ていこう。