「子どもには、少しでも体によいものを食べさせたい!」ですよね。
でも、ごはんは毎日のこと。なるべくシンプルで簡単に済ませたいものです。
この連載では、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生が、最新の医学データをもとに「子どもが食べるべきもの、避けるべきもの」をご紹介します。
不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験から、本当に子どもの体と脳によい食事がわかります。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。
「脳」の機能を高める食べ物とは?
ベジタリアンやヴィーガンの方が当クリニックにも患者さんとしてよくいらっしゃいますが、その方々全員、ビタミンB群が不足・欠乏して貧血になっています(ビタミン欠乏性貧血)。その状態が悪化すると、集中力が低下したり記憶力が落ちたりして、認知症状が出ることさえあります。それだけ、脳機能にとってビタミンB群は必須なのです[*43,44]。
ビタミンB群を摂取するには、肉と魚がおすすめです。肉などの動物性たんぱく質には、ビタミンB群が含まれていて、血液を作ったり、脳機能を維持したりする働きがあります。
体型を気にして、「肉よりも野菜のほうが大事!」と言う方がいますが、ぜひ肉と魚も積極的に食べてほしい食材です。
たんぱく質は非常に大切な栄養素です。たんぱく質豊富な食材として、豆腐や納豆を思い浮かべる人は多いと思いますが、それだけでは足りません。豆腐などの植物性たんぱく質は、ビタミンB群も摂れる動物性、つまり肉や魚などのたんぱく質を合わせて一緒に摂りましょう。
たんぱく質は、どれくらいの量を摂るのが理想なの?
前述のとおり、たんぱく質=大豆食品と考える方が多くいます。たしかに豆腐、納豆は優れたたんぱく質食材ですが、1食分のたんぱく質をまかなうには足りません。
豆腐や納豆など、植物性に含まれるたんぱく質は、豆腐は約7%、納豆は約16%程度。たんぱく質量はイメージほど多くありません。
一方、卵、肉、魚などの動物性たんぱく質は、重量の20~30%がたんぱく質です。植物性に比べて、よりしっかりたんぱく質を摂ることができます。
私がクリニックの診察室で「たんぱく質を摂りましょう」と伝えると、「どれくらいの量を食べればいいですか?」という質問をよく受けます。動物性と植物性を合わせて、1食あたり手のひら(指先まで)1杯分のたんぱく質食材を、摂ることをおすすめします。たんぱく質は体内に貯めることができないので、できるだけ毎食摂ることを心がけましょう。大人の場合は、重さにして100g程度が理想です。
このほかにも『医師が教える 子どもの食事 50の基本』では、子どもの脳と体に最高の食べ方、最悪の食べ方をわかりやすく紹介しています。
(本原稿は伊藤明子著『医師が教える 子どもの食事 50の基本』から一部抜粋・編集したものです)
*44 Pawlak R, et al. Iron Status of Vegetarian Adults: A Review of Literature. Am J Lifestyle Med. 2016 Dec 16; 12(6):486-498.