「子どもには、少しでも体によいものを食べさせたい!」ですよね。
でも、ごはんは毎日のこと。なるべくシンプルで簡単に済ませたいものです。
この連載では、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生が、最新の医学データをもとに「子どもが食べるべきもの、避けるべきもの」をご紹介します。
不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験から、本当に子どもの体と脳によい食事がわかります。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。

【ご飯に“チョイ足し”するだけ!】「子どもの骨を強くする」超優秀食材ナンバー1とは?Photo: Adobe Stock

毎日食べたい超優秀食材とは?

 正解はしらす干し、ちりめんじゃこです。

 釜揚げしらす、しらす干しに使われるしらすは、かたくちいわし・まいわしの幼魚です。ちりめんじゃこは、数種類のいわしの仲間の幼魚が混ざった雑魚(いろいろな魚)をちりめんという布のように乾燥させたものです。どちらもカルシウムとビタミンDが豊富に含まれます。ぜひ毎日食べてほしい食材です。

 このほかにも小女子(こうなご)、田作り(かたくちいわしの幼魚の乾燥品)にもカルシウムとビタミンDが含まれるのでおすすめです。

 次の表は、しらす干しなどに含まれるカルシウムとビタミンDの量を示しています。

カルシウムはビタミンDと一緒に摂ろう

 じつはビタミンDがないとカルシウムを摂ってもほぼ活用できません。ですから、ビタミンDとカルシウムの両方を含む、しらす干し、ちりめんじゃこは素晴らしい食材なのです。

 量は、毎日大さじ2杯程度を食べるのがおすすめです。

日本人はカルシウム不足

 日本のほとんどの人がカルシウム不足、あるいは病的に欠乏しています。日本人の7~14歳が摂取できているカルシウムの量は、1日あたり600mgです(国民健康・栄養調査、2019年、中央値)。

 一方、厚生労働省が掲げているカルシウムの摂取基準(推奨量)は、10~11歳で1日あたり732mg(栄養摂取基準2021年)。足りていないことがわかりますね。そもそも日本の推奨量は病気にならないギリギリのライン。その値にさえ至りません。

 カルシウム豊富な食材にひじきをイメージする人も多いと思いますが、ひじきを食べるなら週1回程度にとどめましょう。食べすぎるとヒ素を蓄積する恐れがあります[*16,17]。

 このほかにも『医師が教える 子どもの食事 50の基本』では、子どもの脳と体に最高の食べ方、最悪の食べ方をわかりやすく紹介しています。

(本原稿は伊藤明子著『医師が教える 子どもの食事 50の基本』から一部抜粋・編集したものです)

*16 横井克彦ら. ヒジキの摂取が生体に与える有害作用. 第25集 第25回日本微量栄養素学会学術集会.
http://www.jtnrs.com/sym25/O_01.pdf(2022年11月20日)
*17 農林水産省. 食品中のヒ素に関するQ&A.
https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_as/qa.html(2022年11月20日)