ロシアの新興財閥(オリガルヒ)、ロマン・アブラモビッチ氏の影響力が低下している。アブラモビッチ氏は1年近くにわたり、ウクライナ戦争終結への努力を手助けするとともに、欧米における自身の名誉を回復し、蓄えた150億ドル(約1兆9500億円)の財産を守るため、成功する望みが薄い試みに身を投じてきた。西側諸国の当局者は、アブラモビッチ氏の財産の大半に制裁を科しながらも、同氏ならロシアのウラジーミル・プーチン大統領との有意義な協議へと道を開くことができると期待していた。同氏はプーチン大統領と密接な関係にある。しかし、戦闘の終わりが見えない中、ウクライナ、米国、欧州の当局者は、アブラモビッチ氏がこの戦争における対話を仲介する上で重要な役割を果たせるかもしれないとの見方を後退させたと話す。アブラモビッチ氏の調整で実現した和平交渉が昨年4月に決裂した後、同氏は現在、捕虜の交換やウクライナからの穀物輸出、ロシアからのアンモニア出荷など、対象をより絞った合意の仲介を進めている。