キムラ氏は続けます。

 「米国の場合は、ほとんどの学生が在学中に企業のインターンシップで働いている。それでスキルを身につけて自分を売り込む。そのときに会社側が求めるスキルが高いほど、学生は必死にそれをクリアしようとする。求められるものが高すぎるからといって、それがプレッシャーになって落ち込むなんて、ちょっと日本の学生はひ弱すぎるんじゃない?」

長期にわたる人材の成長のために
いまの就職・採用法は理にかなっているか

 そうはいっても米国でも学生気質はさまざまで、インターンシップで積極的に自分を能力アップしようという意欲に薄く、なんとなく卒業していく学生もいるそうです。そんな学生が、そのまま企業に就職することは難しく、卒業してからスキルアップに苦労するといいます。

 きちんと就職しようとするなら、いずれどこかの時点で腹を決めて能力を磨く努力をしなければならない、というわけです。

 米国の場合「一年中インターンシップを行っている企業もあるが、学生の夏休みに合わせて3ヶ月のフルタイムのインターンシップを用意する制度が定着している」とキムラ氏は言います。

 日本でもインターンシップの機会は増えていますが、どちらかといえば「会社見学」に近いケースが多く、スキルアップの場として位置づけている企業は限られています。

 ジョブウェブ社長の佐藤孝治さんも、近著「<就活>廃止論~会社に頼れない時代の会社選び」(PHP新書)も、この間の事情に触れています。

 「たとえば、米国では企業の採用活動は退職補充の経験者採用が基本なので、新卒者はどうしても競争に不利になる。そのため米国の大学生は少しでも経験者に対抗するために、大学時代から積極的にインターンシップに参加して職業経験を積み、その経験を就職の際の面接でアピールする。そのため米国のインターンシップは一般に勤務期間も長く、実際の業務をオフィスや現場で遂行するものであることが多い。日本の感覚で言えば、どちらかというと大学生のアルバイトに近い。アルバイトを単に収入のためではなく、将来の仕事選びや自分のキャリア構築と結びつけて行うのがインターンシップというイメージである。」

 さて、ビジネス・パーソンの長期にわたる成長プロセスを考えた場合、日本と米国と、どちらのやり方が理にかなっているでしょうか。