コロナ禍の収束を待たずに、今度は資源・資材の高騰や円安が企業を揺さぶっている。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、10〜12月度の専門店編だ。
JINSが独り負け!その理由は?
専門店の主要5社が発表した2022年10〜12月度の月次業績データは、以下の結果となった。
◯ワークマンの既存店売上高
10月度:前年同月比103.3%(3.3%増)
11月度:同91.2%(8.8%減)
12月度:同108.1%(8.1%増)
◯ABCマ—ト(エービーシー・マート)の既存店売上高
10月度:前年同月比120.2%(20.2%増)
11月度:同112.9%(12.9%増)
12月度:同113.9%(13.9%増)
◯オートバックス(オートバックスセブン)の既存店売上高
10月度:前年同月比106.9%(6.9%増)
11月度:同104.0%(4.0%増)
12月度:同104.2%(4.2%増)
◯JINS(ジンズホールディングス〈HD〉)の既存店売上高
10月度:前年同月比96.9%(3.1%減)
11月度:同102.0%(2.0%増)
12月度:同89.9%(10.1%減)
◯サイクルベースあさひ(あさひ)の既存店売上高
10月度:前年同月比102.8%(2.8%増)
11月度:同109.5%(9.5%増)
12月度:同99.6%(0.4%減)
22年10~12月の3カ月の月次業績を見ると、今回取り上げる5社のうち、ABCマートとオートバックスは3カ月連続で前年実績を上回ったが、JINSは前年同月比マイナスが2カ月あり、特に12月は2桁減となった。
長期化する新型コロナウイルス感染症の影響で、経済活動の抑制と緩和が繰り返されてきたが、小売りは特に影響を大きく受けた業界の一つだ。消費の落ち込みや回復、それらの反動などの影響によって、同じ業界内でも業績はまだら模様になっている。好調な企業と、苦戦を強いられた企業の差は一体何だったのか。
また、この「業界天気図」企画ではこれまで、前年同月比での業績アップが“見せかけの回復”になっていないかを検証してきた。コロナ禍の影響で業績が大きく落ち込んだために、その反動増で実態よりもいい数字が出てしまう業界や企業が多かったからだ。
そこで、その点を考慮したコロナ前の業績と比較・分析することで「実態値」を見てきた。専門店の22年10~12月の業績についても、その実態値を見てみるとどうなるのか。次のページで詳しく解説しよう。