うんと深く付き合うのは5人でいい

 若い人たちがなかなかお互いに深い関係になりにくいというのは、その暴力性に敏感だということです。ただし、恋愛と同じように、やはりお互いが理解し合うためには、その暴力性に対して、怖れず向き合う必要があると思います。

 ここで重要になるのが「選択と集中」です。周囲の誰とでも親密な関係を築くのではなく、本当に自分にとって大切で重要な人物に絞り込み、その人に対して一歩踏み込んでいくのです。私はそういう人は自分の周りに5人いれば十分だと思います。

 いざとなったら心を開いて相談できる人、深刻な話を受け止めてくれる人を5人つくること。5人なんて少なすぎないかという声が聞こえてきそうです。でも、よく考えてみてください。深く付き合える人を5人持っている人は、実はそんなにいないはずです。

 その核となる5人を1人1人が持ったらどうなるでしょうか? 5人が自分の本当に信頼する人間をそれぞれ5人持っているとしたら、5×5で25人のコアなつながりができるでしょう。さらにそれぞれが5人の信頼する人物を持っていれば、25×5で125人。つまり5の累乗で深くコアな関係がつながっていくわけです。

 本当に信頼できる人を5人つくれれば、それを辿れば相当に強くてかつ広い人脈ができるはずです。例えば交通事故を起こしてしまい、誰か弁護士の知り合いを探したい。そんなときにコアな人脈の中に、誰かしらふさわしい人材が見つかるはずです。

 人脈と言うと、とにかくたくさんの人と知り合う必要があると考えたら大間違いです。よく名刺交換会だのパーティーだのやたら参加して名刺を配りまくっている人がいますが、そんなところから本当の人脈なんてできません。人脈をつくりたかったら、むやみに広げてはいけません。まず自分が本当に信頼できる人を5人つくること。そしてその関係を大事にし、強くしていくこと。

 そのためには相手をよく選び、絞り込む必要があります。つまり、選択と集中です。良質な人間とつながれば、その先に良質な人脈があって、それとつながることができるのです。