日本には四季があります。四季をさらに六つに分けたものが「二十四節気」です。先人たちは二十四の季節を味わい楽しむことで、豊かな暮らしを育んできました。今、このような日本古来の生活様式が再評価されつつあります。季節の流れに合わせて生活し食を摂ることが、心と体の最高の養生法なのです。この二十四の各季節の過ごし方をていねいに紹介し、話題になっている本が『二十四節気に合わせ心と体を美しく整える』です。
同書のなかより今回は「立春」の養生法について紹介します。旧暦においては立春が一年の始まりとなります。中国では「一年の計は春にあり」と言われるように、一年のなかでも最も重要な時期なのです。スタートをどう切るかで、あなたがこの一年を心豊かで健康に過ごせるかが決まるのです。立春の時節には何を心がけ、どう行動すればよいか、今日からすぐに始められる過ごし方をお教えしましょう。

立春とうぐいすPhoto: Adobe Stock

一年のスタート「立春」の心と体の整え方

「立」には始まるという意味があります。旧暦では、この季節から新年が始まるのです。立春のスタートは節分の翌日で、現代の暦では2月4日頃にあたります。八十八夜・二百十日などは、すべてこの立春が起算日となります。

 立春を過ぎて最初に吹く南寄りの強い風が「春一番」です。そして、この時期を象徴するのが「春告鳥(はるつげどり)」とも呼ばれるうぐいすです。まさに、春の兆しを告げてくれる鳥なのです。

 太陽が東から昇るように、新年の訪れも東から始まります。御来光に手を合わせ自然に感謝して、新しい年を迎えるのです。これから成長が始まるという大切な時です。より健全でより大きな夢に向かって羽ばたき始めましょう。

「立春」に新しいことを始めてみませんか

 青春という言葉があるように、春は青と関係が深いので、青い色の物を身につけたり小物を青色にすると、体も整い、気持ちも高揚します。青春は若い人だけのものではありません。常に成長しようとする心意気を表します。「60の手習い」と言うように、寿命の伸びた現代では、まさに人生100年というつもりで計画を立て、新しい物事に挑戦してみましょう。精神的な成長は個人の心意気次第です。人はいくつになっても変化できるのです。

 何事も始まりが肝心です。ちょっとしたストレスを最初に放置してしまうと、それが元で体調の不良をも招きかねません。立春という新たな年の始まりとともに、自分の精神面をチェックしてみてください。ストレスの元になるものは、この時期に整理してしまいましょう。

 冬の間に充分に養生をして、春の始まりとともに、駆け出していくのです。冬に蓄えたエネルギーを解き放ちましょう。しかし、もし何か違和感を感じたら、すぐに軌道修正することです。始まったばかりだからこそ、向かう方向を見極めることが大切です。そうすれば、自然に体も心も美しく整ってくるはずです。

次回は「立春」の時期に注意すべきことや、摂るべき食について紹介します。