2022年は2月3日が「節分」、2月4日が「立春」です。日本には季節の移ろいを示す表現がありますね。節分といえば子どもたちが豆まきをする、日本の風物詩ともいえる光景が思い浮かびますが、もともとの成り立ちとはどういったものなのでしょうか?そこで今回は元宮内庁書陵部首席研究官・著述家の飯倉晴武氏の『日本人のしきたり』(青春出版社刊)から日本の季節の表現の成り立ちについて抜粋、紹介します。
旧暦―季節に敏感だった日本人ならではの暦
節分といえば2月、豆まきのイメージを持つ方がほとんどだと思いますが、じつは節分というのは2月だけではありません。立春、立夏、立秋、立冬など、季節の改まる前日の事を「節分」と呼ぶのです。この節分を境にして、暦の上では翌日から季節が変わる、このように考えられていました。
これは旧暦による考え方で、現在、私たちは地球の公転に基づく新暦(太陽暦/グレゴリオ暦)を使用していますが、かつては古代中国から伝わった旧暦を用いていました。旧暦の基本は、月の満ち欠けをひと月とする太陰暦でした。ちなみに旧暦では新月がその月の1日で、15日が満月にあたるようになっています。
しかし、月の満ち欠けの周期は約29日ですから、地球の公転による季節の変化とはズレが生じ、農作業をするうえで不便が生じます。