角質層は、顔面では7~10層であるのに対して、手や足では50~100層近くになります。角質層が薄い顔面の肌は、身体に比べて3倍以上も水分喪失量が多く、バリア機能が良くないことがわかっています。これは身体にできた、バリア機能が低下している皮膚炎部分に匹敵するレベルの数値です。つまり健康な肌の人であっても、顔面の肌は、皮膚炎を起こしている身体の肌に近いレベルで、バリア機能が元々弱いのです。

 また顔面のターンオーバー速度は、身体の他の部位に比べて速いことも明らかになっています。一般的に「角質層」のターンオーバーサイクルは約2週間といわれていますが、顔面の皮膚では、約半分の1週間程度で角質層が全て剥け替わっているともいわれています。さらに角質細胞の表面積も、顔面は前腕部に比べて0.8倍小さく、バリア機能低下の指標となる「有核細胞」の出現率は、前腕部では2%なのに対して、顔面では11%と、あきらかに高いことも指摘されています。

 さらに、常に衣服に覆われている身体に比べて、顔の肌は一年中、外気にさらされています。紫外線ダメージや、炎症を引き起こすアレルギー物質、季節性の乾燥、皮脂分泌の影響などをダイレクトに受けやすい、過酷な環境に置かれているのです。さらに日常的にメイクをする方であれば、指やブラシによる摩擦、スキンケアのやりすぎによる接触性の刺激、メイク落としによる洗浄系界面活性剤の刺激も、そこに加わる場合があります。

 スキンケアをする上では、この「顔の肌のデリケートさ」を、常に念頭におくことが重要です。