肌の守りを司る
「バリア機能」とは

 私たち人間の「皮膚」は、脂肪などの皮下組織を含めると、体重に占める重量がもっとも大きい臓器です。その面積は、全身でたたみ一畳分程の大きさにもなります。

 皮膚の主な役割は、下記のとおりです。

●身体内部の水分が失われないようにする&外部から過剰な水分が入ってくることを防ぐ。
●体温を調節する。
●知覚神経を通じて、外からの刺激を感知する。
●外部の有害な刺激物から身体を守る。

 肌は基本的に「守り」の臓器です。外部から余計な物を入れないことに特化しているといえます。4つの役割はいずれも欠かすことのできない大切な機能ですが、肌の綺麗さを考える上で最も重要になるのが、「身体内部の水分が失われないようにする&外部から過剰な水分が入ってくることを防ぐ」機能です。

 私たちの肌を包み込んでいる、約0.02mmの「角質層」(表皮の最上層)が、私たちの身体と外界を隔てる仕組みを、「肌のバリア機能」といいます。そして肌のバリア機能は、人体の生体活動を守るだけではなく、人の目に映る肌の綺麗さを考える上でも、大切なキーワードになります。

 私たちの肌は、外側から体内に向かって、バリアを担っている「表皮」、主にコラーゲン繊維で作られた「真皮」、更にその下は、主に脂肪で構成された「皮下組織」、という3層構造になっています。肌全体の厚さは、身体の部位によっても異なりますが、平均で2mm程度といわれています。意外と薄いですよね。

肌の構造 星海社肌の構造 星海社 拡大画像表示

 そして表皮の最も外側が、肌のバリア機能の最前線を担う「角質層」です。(角層、ということもあります)

 肌は常に、「ターンオーバー」という生まれ変わりのサイクルを行いながら、最終的に死んだ細胞になって、角質層にたどり着きます。以前は、細胞の核を失って死んだ細胞は、垢と見なされ不要な物と考えられていたのですが、近年では角質層の水分量を保ち、バリア機能を保持するために大切な役割を果たすことがわかっています。

顔の肌だけ
すぐに荒れてしまう理由

「肌は昔から強いはずなのに、なぜか顔だけよく肌荒れする」という方もいらっしゃるかもしれません。顔の肌と、身体の肌とでは、どのような違いがあるのでしょうか?

 私たちの肌表面は、角質層によって覆われていますが、その厚さは、身体の部位によって大きく異なります。