JR東海は、JR7社の中で最も給与が高く、就職希望者に人気の企業だった。だが、新型コロナウイルスの感染拡大後、社員によってはボーナスが約100万円も下がり、鉄道事業の現場では人材流出の危機感が高まっているという。特集『迷走 皇帝なきJR東海』(全8回)の最終回では、JR各社の給与水準を比較するとともに、ボーナス激減や離職者急増の実態を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
※2022年12月9日に公開した記事を再編集しました。数字を含む全ての内容は取材当時のままです。
ボーナスが100万円減少
コロナショックで離職者相次ぐ
人材獲得という面で、JR東海は苦労をしたことがない会社だった。社員からは、「リニア中央新幹線という大きい仕事がしたい学生が志望してくれる」「採用における競合は、鉄道会社ではなく総合商社だ」など、強い自尊心がうかがえる発言が相次ぐ。
実際に、東海道新幹線というドル箱を有するJR東海は、JR7社の中で最も給与水準が高く、高学歴の学生を引き付けてきた。いまだに東京大学卒業者の入社が多く、就活学生からは「JR東海」ならぬ「JRトウダイ」などという隠語で呼ばれることもある。詳細は後述するが、待遇面も鉄道業界の中では恵まれていた。
ところが、だ。新型コロナウイルスの感染拡大による旅客の減少は、JR東海をはじめとしたJRグループの収益を直撃し、ボーナスは激減。離職者が急増し、企業の存続に関わるところまで出てきた。
次ページでは、JR7社における「年収やボーナスの激減ぶり」と「離職者増加の状況」を明らかにする。