上場の立役者が語る、知られざる「上場準備の実態」

2015年に創業し、その後わずか4年という短期間で加速度的な成長を遂げ、まさに“爆速”で株式上場を果たしたマクビープラネット。新規IPO数が急増している現在、上場を目指すベンチャー企業は少なくないが、単に売上が拡大していれば上場できるというものではない。それでは、上場するためには何が必要なのか? 本記事では、『ぼくがマクビーにいる理由』の著者で同社代表取締役である千葉知裕氏が、上場の「舞台裏」から現在のマクビーに至る一連の軌跡を辿りながら、知られざる「上場準備の実態」を語る。

上場のために必要なこと

 上場というのはたしかにひとつのステータスである。だが、「なんとなく格好良いから」、「会社の格を上げたいから」というような漠然とした理由だけで目指しても絶対に実現できないし、たとえ上場したとしても明るい未来はない。

 ぼくはこれまでにさまざまな会社の上場に携わってきたが、上場というのは「ここで上場できなきゃ一生できないだろう」というタイミングがある。これはあくまでぼくの持論で経験則だが、IPOにもタイミングがあることを肌で感じている。「この会社なら、上場させられる」。2018年10月、ぼくはそんな直感を抱いてマクビーにやって来た。

 上場審査の基準としては、「形式要件」と「実質審査基準」との二つがある。前者は、株主数や時価総額、純資産額や利益の額、事業継続年数など、「上場するために満たしておかなければならないこと」である。後者は「その企業が安定した経営を継続的に行なうと判断できるか」をチェックするためのものであり、審査官は提出された書類から判断するのみならず、実際に現地に赴いて社員にヒアリングを行なう。具体的な審査項目はいろいろあるが、要約すると「その会社に上場させるだけの価値があるか」を測るといえる。

 このように、上場するためには適切な組織体制や会社の仕組みが構築されていなければならない。逆にいえば、いくら勢いがあって大きな可能性を秘めていても、審査の基準をクリアしなければ上場することはできない。マクビーが上場するためには、ここが第一関門となった。