職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。
気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか?
この連載では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきた『気づかいの壁』の著者、川原礼子さんが、「気がつくだけの人」で終わらず、「気がきく人」に変われる、とっておきのコツをご紹介します。
「時間ギリギリ」は、もうやめよう
「身だしなみが大事です」というアドバイスがよく言われます。
これほど、今さら言うまでもないことはありません。
とはいえ、日頃から気をつけている人でも、うっかりできていない瞬間があります。
それが、「お客さまを訪問するとき」です。
一般的なビジネスマナーでは、約束の時間の5分前に目的地に到着しておきましょう、ということが言われます。
しかし、それを目指してしまうと、ちょっとしたトラブルが起きただけで、時間ギリギリになってしまいます。
ギリギリに到着したことは、相手に確実に伝わります。
なぜなら、夏であればすぐには汗が止まりませんし、走れば息が切れているでしょうし、自分が思っている以上に、髪や服装は乱れているからです。
どんなにキャリアを重ねていても、こうなってしまう人が後を絶ちません。急いで来たことがアピールになる、と勘違いしている鈍感な人すらいます。
「相手に気をつかわせる」のは最大の失敗
あなたが相手を迎える立場ならば、「汗だくで必死に到着した人」と、「身だしなみが整って落ち着いた人」とでは、どちらに安心して仕事を任せられるでしょうか。
明らかに後者ですよね。
だったら、訪問する際は、目的地に「15分前」に到着するようにしましょう。
近くの駅やコンビニなどの化粧室で、自分の姿を一度確認できるくらいの時間をつくるのです。
以前に、何度か営業の方に同行したことがあるのですが、できる営業の人ほど、必ず整った身だしなみで現れました。
身だしなみが整っていることが、相手に「安心感」を与えることを知っているのですね。
逆に、もし慌てて到着したら、どんなことになるでしょう。
「何か冷たい飲み物をお持ちしますね」
「エアコンの温度、下げておきますね」
などと、相手に気をつかわせることになってしまいます。
これでは、相手の「心の壁」は高いままです。
自然と商談や打ち合わせに入れるように、落ち着いて話せる「15分前の到着」と「身だしなみチェック」を欠かさないようにしましょう。
川原礼子(かわはら・れいこ)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役。
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー。
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。