職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。
気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか?
この連載では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきた『気づかいの壁』の著者、川原礼子さんが、「気がつくだけの人」で終わらず、「気がきく人」に変われる、とっておきのコツをご紹介します。
「やってるアピール」では意味がない
「おせっかいかもしれない?」という”自分の心の壁”を越えるために、必要なマインドセットがあります。
それは、「人が見ていなくてもやる」ということです。
世の中、「人が見ていないと意味がない」「見られているときだけアピールすればいい」という考えが蔓延しています。
たしかに、戦略的には正しいのかもしれません。
しかし、いざというときに壁を越えるためには、それでは不十分です。
日頃から誰かが見ていなくても、
「自分がされて嬉しかったことをやる」
ということをクセづけるようにし、コスパ重視の考え方から抜け出さないといけません。
たとえば、あなたは次のような行動をしているでしょうか?
●席を立つとき、デスクにイスを戻している
●会議室を出るとき、テーブルに飲み物の水滴が残っていないか確認している
●ホワイトボードのインクが切れていたら、新しいものと交換している
●シュレッダーの満杯ランプが点灯していたら袋を交換している
いかがでしょう?
いずれも、あなたの意思だけでできることですよね。
それなのに、「誰かが見てくれていないと意味がない」「やった人が損だ」といって、目先の損得でしか行動できない人がいます。
その発想を捨てることから、気づかいは始まります。
「自分のルール」を守れる人になる
「まあ、いいか」という気持ちは、とっさの行動に表れます。
それは、誰も見ていない赤信号を車でわたるようなもの。いずれ、事故が起こってしまいます。
信仰心の強い国では、「神さまが見ている」という感覚が強いため、モラルが働くといいます。
一方で、日本ではキリスト教圏のような信仰心が薄いため、自分でルールを決めて、それを徹底しているかどうかが個人で試されます。
自分で自分にルールを課して、一度決めたらやり抜く。
誰も見ていなくてもやる。
そういう行動を続けていき、自分でも当たり前になった頃に、誰かが見てくれているものです。
その順番を間違えないようにしましょう。
川原礼子(かわはら・れいこ)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役。
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー。
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。