JR上場4社「15カ月連続」業績回復も抜け出せない苦境のトンネルPhoto:PIXTA

コロナ禍の収束を待たずに、今度は資源・資材の高騰や円安が企業を揺さぶっている。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、2022年10〜12月度の鉄道(JR)編だ。

JR主要4社、業績は好調に見えるが…

 鉄道(JR)の主要4社が発表した2022年10〜12月度の月次業績データは、以下の結果となった。

◯JR東日本の鉄道営業収入
 10月度:前年同月比129.0%(29.0%増)
 11月度:同113.8%(13.8%増)
 12月度:同109.8%(9.8%増)

◯JR東海の新幹線の利用状況
 10月度:前年同月比158%(58%増)
 11月度:同133%(33%増)
 12月度:同123%(23%増)

◯JR西日本の運輸取扱収入
 10月度:前年同月比135.6%(35.6%増)
 11月度:同117.3%(17.3%増)
 12月度:同112.1%(12.1%増)

◯JR九州の運輸取扱収入
 10月度:前年同月比136.1%(36.1%増)
 11月度:同120.1%(20.1%増)
 12月度:同112.4%(12.4%増)

 JR主要4社の10~12月の業績は前年実績を大きく上回り、JR東日本の12月以外、2桁プラスを達成している。中でもJR東海の新幹線の利用状況の改善が際立っており、10月は前年同月比で約60%という大幅なプラス、11月、12月も約20~30%のプラスとなった。

 また、22年4~9月期には3年ぶりにJR4社がそろって最終黒字に転換していたが、22年4~12月期も引き続き全社が最終黒字を確保している。

 新型コロナウイルス感染症拡大による行動制限の影響で、鉄道各社は大幅な業績悪化に見舞われた。例えば、20年10~12月のJR東海の月次業績(新幹線の利用状況)を振り返ると、10月は前年同月比46%、11月は同50%、12月は同39%というありさまだった。だが、昨年の夏以降は行動制限がなくなり、さらに全国旅行支援の実施や水際対策緩和によるインバウンド(訪日外国人客)需要の増加もあって、鉄道利用は着実に回復している。

 ただ、コロナ禍であまりにも落ち込みが大きかった業界であるだけに、コロナ前の水準と比較して、現状はどれほど回復しているのかが重要になる。そこで、時系列で詳しく分析すると、全く違う印象の数字が見えてきた。 次ページから解説していこう。