決算報(鉄道)Photo:PIXTA

コロナ禍が落ち着き始めたことで、市況も少しずつ回復しつつある。しかしビジネス界では、コロナショックから立ち直った企業と不調から抜け出せない企業とで明暗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はJR東海、JR東日本、京王電鉄などの「鉄道」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)

JR3社は前年同期比で増収
京王電鉄、東急は減収

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は、以下の鉄道業界5社。対象期間は22年1~3月の四半期としている。

 各社の増収率は、以下の通りだった。

・JR東海
 増収率:12.8%(四半期の売上高2488億円)
・JR東日本
 増収率:8.3%(四半期の売上高4962億円)
・JR西日本
 増収率:12.3%(四半期の売上高3011億円)
・京王電鉄
 増収率:マイナス4.0%(四半期の営業収益815億円)
・東急
 増収率:マイナス10.2%(四半期の営業収益2246億円)

※5社とも収益認識に関する会計方針の変更を行っている。JR西日本は前年同期の売上高と増収率に同変更を遡及適応しているため、次ページに記載する四半期増収率(前年同期比)については22年3月期第1四半期以降のみを掲載している。その他4社は同変更を遡及適応していないため、各社の開示方法に準じて掲載している。

 鉄道5社ではJR東海、JR東日本、JR西日本が前年同期比で増収、京王電鉄、東急が減収となった。前年同期比の増収率ではJRと私鉄で明暗が分かれたが、その要因は何だったのか。

 鉄道業界は、新型コロナウイルスの感染拡大により、大きな打撃を受けた。リモートワークが拡大して定期券の利用が減ったことや、観光はもちろん、遠方への出張がなくなり、新幹線の利用が減ったことなどが要因だ。この影響はコロナ禍3年目に突入した今も続いている。

 では、なぜJR3社と私鉄2社で明暗が分かれたのか。実は、鉄道以外の事業における特殊事情による影響が大きい。次ページ以降では各社の増収率の推移を紹介するとともに、詳しく解説する。