誕生50年!鮮度とうま味を追求した日本初の缶入り生原酒
今でこそ日本酒の生原酒は珍しくないが、冷蔵物流や店に冷蔵庫がなかった半世紀前は皆無だった。1972年11月に、鮮度を保持したうま味ある生原酒缶を、日本で初めて商品化したのは新潟県の菊水酒造だ。実は大水害の艱難辛苦を経て生まれた。昔、蔵は新発田市中倉の川沿いにあったが、66年の下越水害で堤防が決壊し、土石流に襲われた。不幸は翌年の羽越水害と続き、被害は甚大。当時の社長、4代目の髙澤英介さんは移転を決意し、大借金を負って近代的な醸造場を新造した。
酒の価格競争が激しさを増し、新しい土俵をと商品開発に励む中、蔵で搾りたての生原酒を飲んだ客が「こんなうまい酒は飲んだことない!発売を」と熱望。生原酒は劣化しやすく、菌と紫外線と空気に弱い。試行錯誤を重ね、菌は医療用のフィルターで除去。紫外線対策には遮光性に優れたアルミ缶を選んだ。充塡方法も工夫し、3年かけ苦労の末に完成した。