新日本酒紀行「手取川」廻船問屋の離れ家を移築した酒蔵 Photo by Yohko Yamamoto

白山の自然と季節を表すモダン山廃で、持続可能な酒造り

 霊峰白山に源流を発する手取川の扇状地は、川が暴れ洪水も度重なったが、豊かな水資源は米作りと酒造りを盛んにした。この地で1870年に創業した吉田酒造店の代表銘柄はズバリ「手取川」だ。7代目の吉田泰之さんは、東京農業大学を卒業後、山形県の出羽桜酒造で修業し実家の蔵へ入った。先代杜氏の山本輝幸さんを師に、地の酒造りを身に付け、杜氏に就任。創業151年目に、白山の自然と季節を表す酒「吉田蔵u」を立ち上げる。米は石川県の開発品種の石川門と百万石乃白。酵母は金沢酵母で、蔵付き乳酸菌発酵による山廃造り。搾って即瓶詰めし、爽やかなガス感を残す。アルコール度数は13度と低く、柔らかで颯爽とした酸味があり、モダン山廃と名付けた。普段日本酒を飲まない層にもヒットする。