伝統を革新し次代へ!進化する蔵の山廃純米酒
膨らみある山廃の純米酒がロングセラーを続ける車多酒造。1960年代、7代目の車多壽郎さんが、特徴あるうまい酒を目指し、能登の名杜氏、中三郎さんと苦心の末に造り上げた。現社長は8代目の一成さん。壽郎さんの長女、寿子さんと大学時代に出会い、大吟醸の熟成酒「吟こうぶり」を飲み、日本酒のおいしさに開眼。壽郎さんに「婿に入れ」と言われ、銀行を辞めて蔵入りし、約30年。入社後は、天狗舞と対を成すブランド造りに着手。速醸酛で軽くモダンな「五ご 凛りん」を立ち上げ、特約店で販売し蔵の2本柱に成長させた。酒造りの面白さにはまり、酒母をいじり不思議な味の酒ができて、杜氏を焦らせたことも。「それ以来、山廃の酒母室には錠がかかり、醸造責任者以外は入室禁止に(苦笑)」(一成さん)現杜氏の岡田謙治さんからも「方向性を、実務は我々が」と宣言された。笑い話も苦労話も山ほどある。