スタンフォード大学・オンラインハイスクールはオンラインにもかかわらず、全米トップ10の常連で、2020年は全米の大学進学校1位となった。
世界最高峰の中1から高3の天才児、計900人(30ヵ国)がリアルタイムのオンラインセミナーで学んでいる。そのトップがオンライン教育の世界的リーダーでもある星友啓校長だ。全米トップ校の白熱授業を再現。予測不可能な時代に、シリコンバレーの中心でエリートたちが密かに学ぶ最高の生存戦略を初公開した、星校長の処女作『スタンフォード式生き抜く力』が話題となっている。
ベストセラー作家で“日本一のマーケッター(マーケティングの世界的権威・ECHO賞国際審査員)”と評された神田昌典氏も、
現代版『武士道』というべき本。新しい時代に必要な教育が日本人によって示されたと記憶される本になる
と語った本書の要点と本に掲載できなかった最新情報をコンパクトに解説する本連載。
情報7daysニュースキャスター」や「朝日新聞be on Saturdayフロントランナー」出演で話題の著者が、スタンフォードから最新の「科学的な子育て」をお届けする。

ゲームに夢中Photo: Adobe Stock

心理学的に見る正しいゲームとのつき合い方

 子育てのあるあるの悩みの一つがゲーム。

 年齢や性別で差こそあれ、多くの子どもたちが多くの時間を費やします。

 もちろん、子どもに限ったことではなく、スマホやネット、タブレット端末でのゲームは現代人の日常の一部になっています。

 今回は、心理学的に見る正しいゲームとのつき合い方、特にゲームの時間の減らし方について見ていきましょう。

 ゲームは、うまくつき合えれば、ストレス解消や学習補助になるのですが、やりすぎは禁物。

 仕事や学習の時間が足りなくなってしまうだけでなく、うつ病や不安症などの精神疾患[1]や薬物中毒のリスク[2]との相関も明らかになってきました。

 しかし、そうは知りつつも、ついやりすぎてしまうのがゲーム。

 これは、ゲームが人間を夢中にさせるようデザインされているからです。

 最近の研究では、心理学的にも、ゲームが人間の心を自然に充足してくれるものだと考えられています。[3]

 心理学で学ぶ「自己決定理論」によれば、人間の心には3つの根本的な欲求があります。

 1.誰かとつながること(関係性
 2.何かができると感じること(有能感
 3.何かに強制されてコントロールされるのでなく、自分の意志で行動していると感じられること(自発性

 こうした心の3大欲求によって、私たちは動機づけられます。

 また、3大欲求が満たされることで、心や体のウェルビーイングが保たれるように、脳が仕組み化されていることが、近年明らかにされてきました。

 まさに、今回のテーマ「ゲーム」は、この3大欲求を満たすのに適しているのです。

 ゲームをクリアすることで有能感がかき立てられ、能動的にやることで自発性も得られる。さらに、対戦型やネットゲームで他者と繋がり、関係性が刺激されます。

 このように、大人も子どももゲームに夢中になってしまうのは、このようなメカニズムがあるからなのです。

 では、どうしたらいいのでしょう?

 ただ、ゲームやSNSを完全に子どもの生活から遠ざけようとしてもうまくいきません。余計やりたくなってしまい、逆効果になります。

 まず検討すべきなのは、勉強中や食事中、就寝前などに、スマホやタブレットを遠ざけ、ゲームやSNSをする時間を限定しましょう。

 なにより子どもをサポートする親自身からゲームやSNSの時間を減らしましょう。

 親が見本を見せることから始めなくてはいけません。