新しく何かを「習慣」にするのは、とても難しい。「三日坊主」という言葉があるくらいで、挫折を繰り返してきた人も多いのではないだろうか? そんなあなたにお勧めしたいのが『小さな習慣』という1冊だ。身につけたい習慣を“ばかばかしいほど小さく”することで、簡単に続けられるメソッドだ。習慣を小型化することの効能が「脳の仕組み」から丁寧に解説されている。本書の方法は気軽にできるので、失敗することなく成功体験を積み重ねられる。本稿では、本書より一部を抜粋・編集して「小さな習慣」とは何かについて紹介していく。(構成:長沼良和)

小さな習慣Photo: Adobe Stock

習慣は「小型化」すると継続できる

「小さな習慣」とは、毎日これだけはやると決めて必ず実行する、ちょっとしたポジティブな行動のこと。習慣にしたいことを「細かくして小さく」したものである。

小さな習慣は、“ばかばかしいほど小さな”ステップから成り立ちます。(P.34)

 小さな習慣は“ばかばかしいほど小さな”ことなので、失敗しようがないほど小さいことを実践する。

 たとえば、「100回の腕立て伏せ」を習慣にしたければ、まずは「1回の腕立て伏せ」を習慣にするところからスタートする。

「1時間の瞑想」を習慣にしたければ、「5分の瞑想」から。「毎日3000文字」書けるようになりたければ、「毎日50文字」を書くことを習慣にすることからはじめる。

 失敗しようがないほど小さいから、毎日確実にやり切れる。そして、そのうち楽に続けられるようになる。

 結果的に、いつも達成感に満たされたポジティブな気持ちでいられるので「自己肯定感」が高まる。良い循環が生まれるのだ。

「おまけ」を駆使して習慣を大きくする

「小さな習慣」に慣れてくると、「おまけ」をつけたくなるようになる。

 この場合の「おまけ」とは、「もうちょっとやってみよう」という「勢い」のことだ。

 1歩前に進んだら、助走がついてさらに前に進みたくなるものだ。

 たとえば、腕立て伏せを1回やると決めたら、「もうちょっとやってみよう」と思って、2~3回やろうとする。

「おまけ」によって、より多くのことがこなせるようになり、小さな習慣を大きな習慣にしていける。

こうして、たった1回の腕立て伏せが、絶対に無理だと思っていた30分の筋トレにまで発展したのです。(P.30)

 とはいえ、あくまで「おまけ」なので、1回の腕立て伏せを3回に増やしたからといって、毎回3回やらなければならないということではない。

 日によって気分が乗れなければ、また1回に戻しても良い。

気づいた時にサッとできるくらいの習慣

 大事なのは、「毎日続ける」ことだ。

 どんなに小さいことでも、毎日繰り返すことによって習慣化されていく。

 しかし、時には気分が乗らなかったり、忘れてしまうことがあるかもしれない。

ある日、夜ベッドに入ってから腕立て伏せをし忘れていたことに気づきました。それでどうしたかというと――その場でぱっとうつぶせになり、ベッドの中で腕立て伏せをしました。(P.30)

 どんなときにも簡単にクリアできるほど小さい習慣であれば、ギリギリのところで続けられるのだ。

 危なく継続が止まるところだったが、なんとか継続できたという成功体験は、「続けられている自分ってすごい」と思えて想像以上に精神面でプラスの効果がある。

小さくすれば、コツコツ続けられる

 大きな目標を立てたときには「本当に達成できるのか」という不安と戦うことになる。

 とはいえ、どんなに大きな目標でも、「千里の道も一歩から」だ。確実に一歩一歩前進しなければならない。

 その一歩が「小さな習慣」だ。

 小さな習慣を毎日繰り返していくことで、だんだん大きな習慣になる。習慣を繰り返していくことで、目標を達成できるのだ。

身についた習慣は「簡単には消えない」

 習慣化が難しいことは、私たちは経験上よく知っている。

 ある研究では、習慣が身につくのに「平均66日」かかるという。

 2ヵ月以上かかるというと、大変に感じるかもしれない。

 ところが、習慣は身につきにくいが、「続けてきたことはすぐに消えてしまうものではない」ので安心してほしい。

習慣化のプロセスは1日で完成することもなければ、1日で壊れることもないのです。(P.48)

 1日やり忘れても、いきなり身につけた習慣がなくなるわけではない。

 しかし、気分的に1日やらなかっただけで、罪悪感で自分を責めてしまうかもしれない。

 そんなときは「積み重ねてきたことはそう簡単に消えないから大丈夫」と自分に言い聞かせよう。

 深刻になりすぎず、あくまでも楽しみながら習慣化していくことが、長く続ける秘訣なのだから。