JR東日本(東日本旅客鉄道)と東急不動産ホールディングスが、包括的業務提携を結んだ。JR東が持つ遊休不動産を活用し、住宅事業などで両社が協業する。しかし、その実態は、JR東のメリットばかりが目立つ「不平等条約」ともいえるものだ。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
ぶら下がり取材対応を巡り露呈した関係
JR東日本(東日本旅客鉄道)と東急不動産ホールディングス(HD)が2月14 日にホテルオークラ東京で開いた共同記者会見。JR東の深澤祐二社長と東急不HDの西川弘典社長が、包括的業務提携に関する会見を終えて会場を後にすると、両社の担当者が記者の取材に応じる通称「ぶら下がり」が始まった。
東急不HDは、子会社である東急不動産の次期社長、星野浩明取締役専務執行役員がぶら下がりに対応した。これに対し、JR東が応じたのは、執行役員ですらないマーケティング本部まちづくり部門長だった。
連結売上高は東急不HDが9890億円(2022年3月期)に対し、JR東は、その倍に当たる1兆9789億円(同)。会社の“格”としては、確かにJR東が東急不HDより圧倒的に上である。
とはいえ、業務提携が対等であることをメディア向けにアピールするために、ぶら下がり取材の対応者もある程度の格をそろえるのが一般的だ。公式の記者会見は、両社のトップが並んだものの、ぶら下がり取材対応を巡り、JR東が東急不HDを「格下」と見ていることが、露呈したように見える。
財閥系不動産会社のある幹部はこう打ち明ける。「JR東日本は一事が万事、上から目線のところがある。それにしても、東急不動産はなめられたもんだよ。あのプロジェクトだって、JR東日本の殿様っぷりが如実に表れている」。