日本銀行による大規模金融緩和を追い風に、不動産業界は絶好調だ。果たして2023年も好調を維持するのか。特集『総予測2023』の本稿では、大手不動産デベロッパーに潜む死角をつまびらかにする。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
不動産大手5社はいずれも
過去最高益を見込むが…
日本銀行による大規模金融緩和を追い風に不動産価格が上昇。三井不動産、三菱地所、住友不動産の財閥系3社が過去最高益を記録するなど、2022年の不動産業界は増益ラッシュに沸いた。
23年も引き続き、業界にとって絶好調の年になるかもしれない。新型コロナウイルスの感染拡大による影響でリモートワークが浸透する一方、オフィス回帰の動きも出始めているのだ。
オフィス仲介大手の三幸エステートの調査によると、コロナ禍で悪化の一途をたどってきた東京都心5区の大規模ビルの空室率は、22年10月末時点で4.57%となり、2カ月連続で改善した。23年は東京ミッドタウン八重洲といった大規模オフィスの供給で需給は緩むものの、空室率や賃料の大幅な下落は起きない見通しだ。
オフィスだけでなく、ホテルやレジャー、商業施設にも復活の兆しが見え始めている。コロナ禍による「令和の鎖国」が22年10月に全面緩和され、都心を中心にインバウンドが押し寄せている。
23年の不動産業界を取り巻く環境は、いいことずくめにも映る。実際、財閥系3社に加え、野村不動産ホールディングス(HD)と東急不動産ホールディングス(HD)の不動産大手5社は23年3月期決算で、いずれも過去最高益を見込んでいる。
不動産業界は、わが世の春を謳歌し続けるのか。実は、死角が存在する。23年は、バブル崩壊につながる巨大なリスクに直面することになるかもしれないのだ。
次ページでは、不動産業界に迫るバブル崩壊の巨大リスクを明らかにする。そのリスクによって、不動産大手5社の中で業績に明暗が分かれるかもしれない。