前年同期比で2桁の大幅増収が続出した、JR・大手私鉄25社の2022年4~6月期決算。だが、見せ掛けの回復に惑わされてはいけない。コロナ前と比べてみると、10%以上の減収に陥っている会社は実に19社だ。特集『JR・私鉄「全国376路線」ランキング』(全13回)の#8では、鉄道会社「売上高低迷」ランキングを作成した。関東私鉄の雄、東急も9位に沈んだ。ワースト1位は関西の有力私鉄となった。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
前年同期比では大幅増収ラッシュ
それでもコロナ前の水準に全然届かず
JR東海が前年同期比71.3%増、JR西日本が47.1%増、JR東日本が28.7%増。この夏、鉄道会社が公表した2022年4~6月期決算は、大幅増収ラッシュに沸いた。
一方、大手私鉄も負けてはいない。近鉄グループホールディングスが49.8%増、東武鉄道が24.2%増、南海電気鉄道が18.7%増といった具合だ。JRも大手私鉄も、新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだ売上高が急回復しているという構図は同じ。前年同期比で2桁増収となったのは、上場している25社中17社に及んでいる。
株式市場では鉄道会社に見直しの買いが入り、各社の株価は軒並み上がった。4~6月期決算の発表があった7~8月の2カ月で、JR東海は5.0%高、JR西日本は8.8%高。近鉄が12.2%高、東武が6.5%高などとなった。
だが、前年同期比での大幅増収に惑わされてはいけない。固定費が重い鉄道会社にとって、真に重要なのはコロナ前と比べて売上高がどこまで回復しているかだ。
この観点から作成した、鉄道会社「売上高低迷」ランキングを次ページで確認していこう。コロナ前比で10%以上の大幅減収に陥っている鉄道会社は、なんと19社もある。前年同期比からは決して見えない、鉄道会社が置かれた厳しい状況がくっきりと浮き彫りになった。