TOHOシネマズPhoto:Diamond

コロナ禍の収束を待たずに、今度は資源・資材の高騰や円安急進が企業を揺さぶっている。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、2022年10〜12月度のレジャー編だ。

「スラムダンク」の記録的ヒットでも
TOHOシネマズがあまり喜べない事情

 レジャーの主要2社が発表した2022年10〜12月度の月次業績データは、以下の結果となった。

◯TOHO シネマズ(東宝)の映画興行収入
 10月度:前年同月比101.7%(1.7%増)
 11月度:同126.7%(26.7%増)
 12月度:同121.5%(21.5%増)

◯ラウンドワンの既存店売上
 対2019年比のみの業績開示のため、22年4~6月度から対象外とした。

◯東京スカイツリー(東武鉄道)の天望デッキ来場者数
 10月度:前年同月比259.9%(159.9%増)
 11月度:同159.9%(59.9%増)
 12月度:同155.7%(55.7%増)

 レジャー業界は、新型コロナウイルス禍で大打撃を受けた業界の一つだ。しかし、TOHOシネマズも東京スカイツリーも上の数字を見ると復活を遂げたように映る。22年12月度は東京スカイツリーの展望デッキ来場者数が前年同月比で1.5倍超に増えていて絶好調に見える。

 TOHOシネマズも、記録的な興行収入を記録している「THE FIRST SLAM DUNK」というヒット映画作品に恵まれて業績に追い風が吹いた。

 しかし、2社の状況を詳しく見ていくと、手放しで喜べる状況ではないことが分かる。次ページで詳しく解説しよう。