新しく何かを「習慣」にするのは、とても難しい。「三日坊主」という言葉があるくらいで、挫折を繰り返してきた人も多いのではないだろうか? そんなあなたにお勧めしたいのが『小さな習慣』という1冊だ。身につけたい習慣を“ばかばかしいほど小さく”することで、簡単に続けられるメソッドだ。習慣を小型化することの効能が「脳の仕組み」から丁寧に解説されている。本書の方法は気軽にできるので、失敗することなく成功体験を積み重ねられる。本稿では、本書より一部を抜粋・編集して「小さな習慣」とは何かについて紹介していく。(構成:長沼良和)

小さな習慣Photo: Adobe Stock

新しい習慣はなかなか身につかない

 これまで無意識にしていた悪習慣をやめて、新しく良い習慣を取り入れようとしても、なかなかうまくいかなかったことはないだろうか。

 たとえば、これまで朝7時まで寝ていたところを6時に起きてジョギングする習慣に変えるのは、なかなか厳しいものである。

習慣を変えようと努力する人たちに関する調査の結果は、がっかりするようなものばかりでした。いったん習慣が定着してしまうと、強い意志を持ってしてもそこから抜け出すのはむずかしいというのです。(P.114)

 人は想像以上に日常生活の中で習慣的な行動をとっていて、そう簡単に変えることがむずかしいのだ。

小さな習慣で自己肯定感をはぐくむ

 新しく習慣が身につかなかったとき、「はじめてみたけれど続かなかった」と心の中に挫折感は残り、時には自己嫌悪に陥ることもあるかもしれない。

 逆に言えば、新しい習慣を続けられれば、ネガティブな感情を持つことなく前向きな気持ちのままでいられる。

 本書で紹介している「小さな習慣」は、“ばかばかしいほど小さな”ステップなので続けやすいメリットがある。

 どんなに忙しいときでも、精神的に落ち込んでいても、やり続けられるくらい小さなことを習慣にするのが「小さな習慣」である。

 たとえば、腕立て伏せを1回だけする、Twitterを1ツイートする、本を2ページだけ読むといったことだ。

 小さな習慣を毎日続けることで前向きな気持ちを維持し、「自分にはできる」という自己肯定感を持てるようになる。

「小さな習慣」に取り組み続けると、おのずと自己肯定感が生まれるのだ。

 たとえ今まで自己肯定感を持ち合わせていなかったとしても、「自分でもやればできる」と気づく。

小さな習慣を使うと、まるで機械で送り出されるかのように、自己肯定感が生まれます。それどころか、自己肯定感がゼロであってもうまく行動を始められます。毎日の成功の積み重ねが、自己肯定感を高める訓練になるのです。(P.120)

「小さな習慣」を積み重ねることで自己肯定感を高め、結果的に目標達成を実現できる。

続けることが心のセーフティネットになる

「小さな習慣」といっても、気分が乗っていたら好きなだけ増やしてもいい。

 腕立て伏せは2回以上やってもいいし、Twitterなら3ツイートしてもいいし、本を10ページ読んでもいい。

 習慣の量を増やしていくことで、予想もしていなかったほど大きなことができるようになる。

たった1回の腕立て伏せが、絶対に無理だと思っていた30分の筋トレにまで発展したのです。(P.30)

 逆に、気が乗らないときには、あらかじめ決めていた小さな習慣をこなすだけで良い。

 何かあったら、楽にできる日課をこなせば良いのだから、自己肯定感に傷がつくことはない。

 ポジティブな気持ちはそのままである。

たまに30回の腕立て伏せをするより、毎日1回する習慣のほうがずっと優れています。それは、習慣になった行動だけが強化され進歩していくからです。(P.122)

 小さな習慣は、心のセーフティネットとして機能するのである。

小さな習慣は自分を信じる練習

 小さな習慣は、自分を信じるためのトレーニングでもある。

 新しい習慣をはじめようとするとき、「自分には続けられるだろうか?」という不安を抱えることがある。

 この不安により、自己肯定感がゆらぐこともある。

 特に、過去に同じ習慣を身につけようとして失敗したことがあったとき、「今回も失敗してしまうのではないだろうか」という気持ちになる。

自分で失敗するだろうと思ってしまえば、まさにそのとおりの結果になります。でも本当は、あなたにはそれができるのです。(P.121)

 そんなときには、小さな習慣をはじめよう。

 かつて「1日1冊本を読む」という習慣を身につかなかったとしたら、1日2ページ読むという小さな習慣に切り替えて実践してみる。

 無理することなく「これなら絶対できる」という習慣を毎日続けることで、確固たる自己肯定感が心の中にしっかり根付くはずだ。

 小さな習慣は、自分を信じる練習なのである。