新しく何かを「習慣」にするのは、とても難しい。「三日坊主」という言葉があるくらいで、挫折を繰り返してきた人も多いのではないだろうか? そんなあなたにお勧めしたいのが『小さな習慣』という1冊だ。身につけたい習慣を“ばかばかしいほど小さく”することで、簡単に続けられるメソッドだ。習慣を小型化することの効能が「脳の仕組み」から丁寧に解説されている。本書の方法は気軽にできるので、失敗することなく成功体験を積み重ねられる。本稿では、本書より一部を抜粋・編集して「小さな習慣」とは何かについて紹介していく。(構成:長沼良和)

小さな習慣Photo: Adobe Stock

新しい習慣はなかなか身につかない

 目標を達成したりスキルを身につけたりするため、新しく習慣を身につけたいと思ったことは誰しもあるだろう。

 「英語を30分学ぶ」「早起きをする」「10kgダイエットをするため糖質を控える」「資格を取るため問題集をやる」等々。

 ところが、なかなか習慣が身につけられず、求める結果が得られなかったことも多かったのではないだろうか。

 良いことを習慣化すれば、目標を達成できることはわかっている。

 しかし、なかなか習慣が身につかず、途中で挫折してしまうのだ。

新しい習慣を小さくする

 習慣化できない理由は、習慣にしたいことが、毎日実践するには負担が大きすぎるものだからだ。

 たとえば、「今日から毎日腹筋を100回やるぞ」と決めたとする。

 3日目まではなんとか続いた。

 ところが、だんだん続けるのが苦しくなってきて、4日目に仕事が忙しくてできなかった。

 「また腹筋を100回やらなければ」と思うとうんざりしてしまい、5日目にはもうやる気が起きず心が折れてやめてしまうのだ。

 がんばったけれど、1週間も続かなかった。

 それは根性がなかったからではなく、「腹筋100回という目標」がいきなり習慣にするには大変すぎたのだ。

私の基本ルールは、身につけたいと思う習慣をばかばかしいと思えるくらいまで小さくする、というものです。(P.144)

 最初は小さいことからはじめるのが習慣化をうまくいかせる秘訣である。

習慣化できないのはやり方が間違っているだけ

 続けようと思ったことを4日間で挫折したら、大抵の人は自信を失い、自己嫌悪に陥るものである。

 しかし、その理由のほとんどは、個人の能力の問題ではなく、やり方が間違っているだけだ。

習慣が長続きしないのは、自分自身に問題があると考える人が多いようですが、本当はやり方が間違っているだけなのです。(P.2)

 習慣にできなかったのは、がんばらないと続けられないほど大変なことをやろうとしたからに過ぎない。

 習慣を徹底的に小さくすることが継続するためのポイントである。

必ずやってくる“熱意の減退”

 もうひとつの習慣化できない理由が「モチベーションに頼る」ことだ。

 新しく習慣をはじめたとき、最初のうちはモチベーションも高くやる気に満ちあふれている。

 ところが、次第にやる気は落ち着いていき、最後は実践できない日があったりすると嫌になってやめてしまう。

 いつもの挫折パターンである。

 最初の熱意は、時間の経過とともに必ず薄くなっていく。

行動が習慣に変わり始めるころには、その行動への感情は薄れていきます。退屈でつまらなく思えてくるかもしれません。(P.72)

 最初のうちはがんばって習慣にしようと思っても、続けているうちにだんだんやる気が低下して挫折した経験は誰もがあるだろう。

 それはモチベーションに依存して習慣を身につけようとしたからだ。

運動を始めた人が1ヶ月も経つと挫折してしまうのは、この予想される“熱意の減退”も理由のひとつです。うまく続けられていた運動でさえ、どうもやる気になれないと思うと、やめてしまうことがあります。(P.74)

 熱意は時間の経過と共に減退してしまうから、習慣化する原動力にしない方がいい。

感情から切り離して自動化する

 習慣にすることは、体が自動的に動いて無意識にできるぐらいまで落とし込まなければならない。

 毎朝歯磨きをするのにがんばる必要はないし、「歯を磨くぞ」とモチベーションを高めなくてもほぼ無意識にできる。これが習慣の力である。

 習慣的な行動はほとんど無意識レベルで行われ、感情から切り離された状態になる。

同じ行動の繰り返しで興奮が高まることはなく、逆に薄れていきます。習慣化が進めば進むほど、それをすることへの抵抗が少なくなり、どんどん自動的におこなうようになるからです。(P.73)

 習慣とは、感情の動きがなく自動でできるようになることなのだ。