新しく何かを「習慣」にするのは、とても難しい。「三日坊主」という言葉があるくらいで、挫折を繰り返してきた人も多いのではないだろうか? そんなあなたにお勧めしたいのが『小さな習慣』という1冊だ。身につけたい習慣を“ばかばかしいほど小さく”することで、簡単に続けられるメソッドだ。習慣を小型化することの効能が「脳の仕組み」から丁寧に解説されている。本書の方法は気軽にできるので、失敗することなく成功体験を積み重ねられる。本稿では、本書より一部を抜粋・編集して「小さな習慣」とは何かについて紹介していく。(構成:長沼良和)
目標はコンフォートゾーンの外
今、私たちは「コンフォートゾーン」と呼ばれるエリアの中にいる。
その名の通り、ストレスや不安がなく落ち着いた快適な気分でいられる空間のことだ。おかげで快適に暮らせている。
ところが、目標を立てると、大抵の場合それはコンフォートゾーンの外にある。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」ということわざがあるように、現状の快適なままだと求める結果は得られない。
目標を達成するためには、快適な空間から出なければならないのだ。
勢いだけでは外に出られない
そこで大抵の場合、目標設定をするとがむしゃらに「目標に向かって突き進め!」と言わんばかりの勢いが必要だと勘違いしてしまう。
ところが、その勢いはしばらくすると一気に衰え、気づいたら最初とまったく同じところに立っていることになる。
勢いだけでは長続きせず、目標を達成するまでには至らないのだ。
小さな習慣で少しずつゾーンを広げる
ここで「小さな習慣」を活用しよう。
本書にある通り「小さな習慣」とは、新しく習慣にする行動をものすごく小さくしたものだ。
小さ過ぎてばかばかしいほど簡単にできる習慣のことである。
実践するのに勢いもいらないし、モチベーションを高める必要もない。
小さな習慣だから進みもゆっくりで勢いもないから、コンフォートゾーンの境界線まで歩いていき、そっと一歩外に踏み出せる。
そこは快適ではないけれど、「すぐに戻れる」安心感がある。
そのため、違和感がなく居続けられるだろう。
ここで勢いをつけて外に出ようとすると、「コンフォートゾーンから出たくない」という潜在意識の力で元に戻されてしまう。
あせらず小さな習慣をコツコツ積み重ね、少しずつコンフォートゾーンを広げていくことが重要だ。
「おまけ」の効能
毎日「小さな習慣」を続けていると、習慣を続けられていることに自信がついて、気持ちが前向きになる。
そうなると、習慣に「おまけ」をつけ加えたくなる。
「おまけ」とは、腕立て伏せを1回やることを小さな習慣にしていたら2~3回やってみるとか、Twitterで1回投稿することを小さな習慣にしていたら、2回にしてみるといったことだ。
精神的に余裕ができてポジティブになっているため、回数を増やしてもやれる自信がついてくる。
「おまけ」のおかげで、「小さな習慣」はだんだん成長して目標達成に向かって加速していくことになる。
最初の一歩は小さいほど良い
習慣化の過程は、意外にも物理法則と同じである。
1. 静止している物体は、外からの力が加わらないかぎり、そこにとどまって動かない。
2. 動いている物体は、外からの力が加わらないかぎり、その速さが変化することはない。(P.97-98)
まず、習慣を実践しはじめることは、静止している物体に外からの力が加わって動き出すことを指している。
そして、習慣を継続している限り、物体は一定のスピードで動き続ける。
ニュートンは、物体は一度動き出したらあとは楽に動き続けられると言っている。
つまり、一番難しいのは最初の「止まっている物体が動きはじめる」ことだ。
これは、どんな習慣でもはじめること自体が抵抗になり、最初の壁となるのが一歩目の行動であることを物語っている。
ならば、最初のアクションが軽い一押しであれば、抵抗も小さくスタートできる。
その点、「小さな習慣」は徹底的に小さなステップなので抵抗も少ない。
小さな習慣で、小さな一歩を踏むところからはじめれば、抵抗なく楽に続けられるのだ。