ソフトバンクグループ(SBG)の業績が不安定だ。2022年7~9月期はアリババ株を一部売却し3兆円の最終黒字を確保したものの、10~12月期は7834億円の最終赤字に陥った。これまでは孫正義会長兼社長の「眼力」に基づき、投資で利益を得てきた。それは見方を変えればハイリスク型の資金運用でもあり、業績は世界経済の環境変化に影響されやすい。SBGはどのように業績を立て直すのか。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)
7834億円の最終赤字に陥ったSBG
ここに来て、ソフトバンクグループ(SBG)の事業運営の先行き不透明感が一段と高まっている。同社は、世界的な低金利環境を背景に投資資金を借り入れ、IT先端分野の企業に投資してきた。特に、AI(=人工知能)が世界の経済成長を押し上げると考え、中国のアリババ・グループや英半導体設計企業のアームなど、ソフトウエア開発に強みを持つ企業に着目した。
しかし、世界経済の減速や金利上昇を背景に投資先企業の業績は悪化し、株価は下落した。その結果、SBGの業績は悪化している。
今後、SBGを取り巻く事業環境の不安定感は一段と高まりそうだ。米国では想定された以上に労働市場が過熱し、個人消費も底堅い。当面、FRBは金融引き締めを続けるだろう。また、4月以降、わが国でも金利上昇リスクは高まりやすい。その他の要因も加わり、今すぐではないにせよSBGの投資先企業の株価が大きく調整する恐れは否定できない。
金利上昇は、SBGの財務内容の悪化要因になる。そうしたリスクに対応しつつ、中長期の視点で成長期待の高まる企業を発掘できるか否か、これまで以上に同社の投資力が問われている。