消費する高齢者こそ
日本経済を救う

 働いていない人がお金を使うことを「浪費」とみなす人がいるかもしれませんが、資本主義社会においてお金を使うことは、立派な社会参加のひとつです。誰もお金を使わなければ経済は回りません。

 日本はこの30年間、ほとんど成長してきませんでした。その理由は、決して生産性が足りないからというわけではありません。むしろ、消費が足りないのです。消費が足りないから経済は回らないし、若い人たちの給与も上がりません。

 そういう点で言えば、生産しないのに消費だけする高齢者は、日本にとって大変ありがたい存在です。本来ならば、経済学者の人々は高齢者の存在をもっと大切にするべきで、積極的に高齢者がお金を使いたくなるようなしくみやサービスをもっと整えてほしいと私は思います。

書影『90歳の幸福論』『90歳の幸福論』(扶桑社)
和田秀樹 著

 むしろ、消費者として、高齢者はもっと発言権を持ってもいいはずです。世界に先駆けて最も高齢化が進んでいる先進国である日本は、今後、世界の高齢者に関する産業をリードする存在になれるはずです。

 高齢者が積極的に消費し、現状のサービスやモノに意見を提唱することで、より高齢者にとって使いやすい商品やサービスが生まれるかもしれません。なかには、ご自身の声から、世界中の高齢者たちが利用するようなサービスや商品が生まれる可能性もあるでしょう。

 お金を積極的に使って、気になるところがあれば声を上げる。または、ご自身の欲しいサービスや商品に対して、積極的にアイデアを出してもいいかもしれません。