売上を減らしたら、利益が1億円アップした会社をご存じだろうか?
「いずみホールディングス」は、食品流通事業とB to Bマネープラットフォーム事業を展開する企業グループ。食品流通事業6社は、水産・畜産・農産商品を全国の飲食店、量販店、卸売市場に販売。また、B to Bマネープラットフォーム事業では「oneplat」というサービスを展開している。同社は近年、経営改革を進め、利益を1億円アップさせた。
その秘密は、ベストセラーとなっている、木下勝寿(北の達人コーポレーション社長)著『売上最小化、利益最大化の法則』と『時間最短化、成果最大化の法則』の掛け算にあったという。
『売上最小化』は「2021年 スタートアップ・ベンチャー業界人が選ぶビジネス書大賞」を受賞、『時間最短化』は、「がっちりマンデー!!」のツイッターで、「ニトリ」似鳥会長と「食べチョク」秋元代表が「2022年に読んだオススメ本3選」に同時選抜された本だ。
今回、その掛け算の秘密をいずみホールディングスの泉卓真代表が初めてメディアに語った。2回目は「前例なき商品を生み出す人が大切にしている魔法の言葉」をお届けする。(構成・橋本淳司)
「GOOD&NEW」でコミュニケーションが格段に活性化
――いずみホールディングスは食品流通事業のほかに、B to Bのマネープラットフォーム事業を展開していますね。
「oneplat(ワンプラット)」というサービスを展開しています。
これは受け取る納品書から請求書までを、リアルタイムかつ精度100%で電子化し、会計システムまで手入力をすることなく連携する「納品書・請求書クラウドサービス」です。
このサービスを提供しているのは国内外で私たちだけです。
――唯一無二のサービスということですね。「oneplat」を立ち上げる中で、『売上最小化、利益最大化の法則』と『時間最短化、成果最大化の法則』が役立ったことはありますか?
まず、この事業を運営する「株式会社Oneplat」は2019年2月に設立しました。
その後、多くの社員が入ってくる中で、『売上最小化、利益最大化の法則』と『時間最短化、成果最大化の法則』を常に共有してきました。
何かあるたびに本を開き、スマートフォンで写真を撮って該当ページを見ながら、考え方がぶれたり、ずれたり、脱線しないよう、議論の中心として活用してきました。
なかでも、『売上最大化、利益最大化の法則』で紹介されていた「GOOD&NEW」は社内のコミュニケーションを活性化するうえですごく役立ちました。
――「GOOD&NEW」は3~5人のグループに分かれ、24時間以内に起きた「よかったこと(GOOD)」や「新しい発見(NEW)」を一人ずつ話して全員で共有し、拍手をする取り組みですね。
この本を読んだその日に社内でやろうと決め、翌日の朝礼から始めました。
今でもやっています。
すると、コミュニケーション量、議論の活発さ、親密度が、これまで私がつくってきた会社のペースとは段違いの速さで活性化しました。
「oneplat」と「オリゴ糖でつくられた健康食品」の共通点
――「oneplat」の商品開発の際、『売上最小化、利益最大化の法則』で胸に響いたパワーワードがあったそうですね。
はい。書籍には木下社長が「オリゴ糖でつくられた健康商品」を販売したときのエピソードがあります。
便通に悩む人たちから、
「20年来の悩みが数日で解決し、感謝の言葉もありません」
「これまでの苦痛がウソのようで。わずか3日間で生まれ変わったようです」
などのメールがあり、木下社長は「長年の苦痛が一瞬で解消される喜び」のインパクトの大きさについて語っています。
「oneplat」もお客様の「長年の苦痛から解放される喜び」に注目したサービスなので、とても勇気づけられました。
――「長年の苦痛から解放される喜びに注目したサービス」とは、どんなものですか?
私たちの業界で何が苦痛かといえば、販売後のコストと時間の負担が大きすぎることです。
粗利が5~25%くらいなのに、配送、伝票発行、お客様対応などのコストがかかります。
なかでも一番大きかったのは、バックオフィスの紙の処理でした。
たとえば1万店くらいのお客様がいると、FAXによる注文が1日500~1000枚くらいあります。
仕入先の農家や漁師、業者からの納品伝票がFAXと郵送でそれぞれ数百枚、毎日送られてきます。
これを当社の経理担当者は個別に振り分け、チェック後に、PCに手入力します。
ものすごいコストと時間の負担です。さらにその膨大な紙のすべてを約10年保管するわけです。
――この苦痛をどのように解決するのですか?
「oneplat」は手元に来る納品書から請求書まで、リアルタイムかつ100%の精度で電子化し、会計システムに自動連携します。手入力は一切必要はありません。
他社のサービスで請求書を電子化できるものはありますが、OCR(光学文字認識)なので精度が100%ではなく、データを自動的に会計ソフトに取り込むこともできません。
つまり、入力作業はなくなるが、確認作業は必要。結局、作業時間は変わらないので本質的な解決につながらないわけです。
そこで私たちは、経理の作業時間を圧倒的に少なくするサービスを開発しました。
おかげさまで「oneplat」は私たちの業界だけでなく、国内のすべての事業領域でご利用を頂けるサービスになりました。
元々私たちは、価値には有形の価値と無形の価値があると思っていて、より価値が高いのは無形の価値。
その無形の価値の中で一番高い価値は時間であり、私たちが提供するサービスはお客様の時間の価値を上げるお手伝いができる。つまり、お客様の可処分時間を上げられるサービスであるべきだと考え開発を進めてきましたので、たくさんの企業や、その企業で働く方々の可処分時間を上げることを目的にして進めました。
「びっくりするほどよい商品」ができたときしか販売しない
――木下社長の書籍から商品開発の姿勢について、何か感じるところはありましたか?
木下社長は『売上最小化、利益最大化の法則』で、「びっくりするほどよい商品ができたときにしか発売しない」と断言しています。商品の最終判断は、全社員、全役員が自分たちで使って判断。長期間をかけて開発しても、納得できない商品は発売しないといいます。
この言葉にはとても勇気づけられました。
実は「oneplat」も、お客様目線で喜んでいただけるサービスになるまで、リリースしませんでした。
サービスに不満を持つ人が一人でも出ないよう、徹底的に磨き込んでから発売したのです。
時間だけがどんどん流れていくなか、正直、焦ったこともあったのですが、あえて我慢に我慢を重ね、開発に邁進しました。
その最中に『売上最小化、利益最大化の法則』を読み、この言葉に出逢ったのです。
私はこの言葉を信じて堪えました。
そして、自分たちで納得できるまで磨きに磨き込んだのです。
2019年2月に「株式会社Oneplat」を設立しましたが、サービスをリリースしたのは2022年6月なので、実に3年以上かかったことになります。
おかげさまで数多くのお客様に喜んでいただけるサービスができました。
今は、中途半端なサービスをリリースしなくて本当によかったと思っています。
すべては『売上最小化、利益最大化の法則』のおかげだと思っています。
今、リリースしたい商品がある方は特に参考になりますし、この本にはものづくりへの姿勢が学べます。ぜひ読んでみてください。
株式会社いずみホールディングス 代表取締役社長。
複数の飲食チェーン店勤務を経て2004年に海産物専門卸のいずみを創業。その後、畜産物卸や農産物卸にも参入し、2012年にいずみホールディングスを設立。2019年、株式会社Oneplatを設立し、代表取締役社長に就任。SBIや三菱UFJ、政府系の官民ファンドなどから総額10億5000万円の投資を集め、銀行をはじめとした金融機関と提携し、日本初のスキームで構築された、BtoBマネープラットフォームを構築。
(本稿では『時間最短化、成果最大化の法則』と『売上最小化、利益最大化の法則』をフル活用し、大きな成果を上げた事例を紹介しています)